熊本県議会 > 2022-12-12 >
12月12日-04号

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  1. 熊本県議会 2022-12-12
    12月12日-04号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
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    令和4年12月 定例会               第 4 号              (12月12日)  令和4年   熊本県議会12月定例会会議録     第4号令和4年12月12日(月曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第4号  令和4年12月12日(月曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            堤   泰 之 君            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            井 手 順 雄 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   平 井 宏 英 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     理    事 小金丸   健 君     健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君     環境生活部長 小 原 雅 之 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 原 山 明 博 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   亀 崎 直 隆 君     会計管理者  野 尾 晴一朗 君     企業局長   竹 田 尚 史 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    白 石 伸 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            西 尾 浩 明 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            村 田 竜 二     兼総務課長     議事課長   富 田 博 英     審議員兼            濱 田 浩 史     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(溝口幸治君) おはようございます。 これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(溝口幸治君) 日程に従いまして、日程第1、9日に引き続き一般質問を行います。 中村亮彦君。  〔中村亮彦君登壇〕(拍手) ◆(中村亮彦君) 皆さん、おはようございます。自由民主党・菊池郡区選出・中村亮彦でございます。今日で8回目の質問ということになりますが、やっぱりここの壇上に立ちますと、大きな緊張感に襲われ、そしてプレッシャーを感じているところでございます。 これを払拭するために、先週の金曜日でございましたが、一般質問のときに髙木議員が、質問の前の冒頭で、今日は赤飯を食べてきたというお話をされました。私もこれにあやかろうということで、家内に、今日は赤飯を食べていくというようなことをお話をしましたら、そんなものはないということでございました。これはかなわなかったわけでございますけれども、ふだんからしっかりとコミュニケーションを取っておくべきだなというふうに、不徳の至りを痛感している毎日でございますけれども、今日は、許されたこの時間、しっかりと務めを果たしてまいりたいというふうに考えておるところでございますが、今日は、地元の課題を中心に質問をさせていただきます。 TSMCの話、それから交通渋滞の課題といったようなことについては、これまで数人の議員の皆さんが質問をされたわけでございますけれども、私の場合は、地元目線で今日は質問させていただきたいというふうに思いますので、議員各位におかれましては、最後までの御清聴、そして知事はじめ執行部の皆様方におかれましては、明確な御答弁をよろしくお願い申し上げまして、最初の質問に入ります。 TSMC波及効果についてお尋ねをいたします。 TSMCの本県進出が公表されました昨年11月から1年が経過をいたしました。現在、新工場の建設予定地では多くのクレーンが立ち並び、これまでに見たこともないような活況を呈しております。今後の我が国の半導体産業の命運を占う国家プロジェクト地元菊陽町で順調に進んでいることを、大変うれしく感じておるところであります。 私は、令和3年9月定例会において、地方創生の実現にとって最も重要な要素の一つとして、企業誘致について質問させていただきました。 その企業誘致につきまして、TSMC進出公表以降、数多くの立地協定が締結されていると伺っております。今後ますます多くの企業が熊本への進出ないしは県内での設備投資を加速させ、地元雇用や企業間の取引の拡大など、本県に多大な恩恵をもたらし、地方創生を前進させるものと期待をいたしております。 こうした中、進出公表後、この議会でも度々取り上げておりますとおり、いかに波及効果を最大化していくかということが、本県に与えられたチャンスでもあり、最大命題の一つでもあると考えております。 本県の波及効果を最大化するに当たり、私は、県全体を見渡す大きな視点と、もう一方で進出を受け入れる地域住民の視点という2つの視点を意識する必要があると考えております。 1つ目の県全体を見渡す大きな視点は、TSMCの進出を契機とした関連企業の進出や設備投資、そして新たに雇用される方々による消費活動等といった経済波及効果をいかに最大化させるかということであります。この点につきまして、私は、企業誘致が果たす役割が大きいと考えております。 新聞報道等によりますと、TSMCの進出に伴って、国内、国外の多くの企業が熊本への進出や設備投資を考えておられるそうであります。この好機をしっかりと捉え、企業の誘致の成果に結びつけていくことが必要だと考えております。 地元金融機関九州フィナンシャルグループが試算した5年間で4.3兆円という経済波及効果を最大化し、常日頃から知事がおっしゃっている我が国の経済の安全保障の一翼を担うというお考えを実現するため、今後どのように企業誘致を進めていくお考えでしょうか。 次に、2つ目の視点につきまして、TSMCを受け入れる地域住民メリットです。 現状では、経済波及効果等に関する期待感が膨らむ一方、地元では、外国人を地域社会の一員として円滑に受け入れることができるか不安などという声を聞く機会が多いように感じております。 TSMCの今回の進出に伴い、JASMの従業員とその家族を含めて、600人強の方々が台湾からお越しになると伺っております。これは、現在菊陽町にいらっしゃる外国人全体――これは441人でございますが、上回る人数であり、住民の方々の御心配ももっともな話であります。 進出効果の最大化を目指す際には、県全体という大きな視点だけでなく、台湾から来られる従業員及びその家族への対応はもちろんのこと、TSMCを受け入れる地域に住まわれている住民も、その効果を実感できるように配慮する必要があります。 TSMC進出は、地域住民にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。また、現在心配されている外国人の円滑な受入れに対する不安などをどのようにして解消し、住民と台湾から来られた方々の双方が進出効果を実感できるようにしていくのでしょうか。 そこで、TSMCの進出をきっかけとした経済効果の最大化のため、どのように企業誘致を進めていくのか、また、地域住民や自治体にとってのメリットにはどのようなものがあり、また、現在地域住民が抱いている不安や心配をどのように改善していくのか、知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、TSMCの進出をきっかけとした経済効果の最大化のための企業誘致の進め方についてお答えします。 私は、同社の進出決定直後から、半導体産業集積強化推進本部を設置し、全庁一丸となり、人材の育成、確保や渋滞、交通アクセス対策など、様々な課題にスピード感を持って取り組んでまいりました。 TSMCの進出による経済波及効果を最大化するためには、これまで以上に市町村や民間企業、金融機関と連携を強め、企業誘致を積極的に展開することが重要であります。 昨年度の進出決定以降、半導体関連企業の立地件数は、既に24件となり、本県への誘致は順調に進みつつあります。 半導体関連産業は、裾野の広い産業分野です。製造に必要な部品や材料だけでなく、製造装置やメンテナンス、物流など様々な業種に影響が及びます。こうした関連企業を県内に幅広く集積させることで、本県の競争力を高め、日本の経済安全保障の一翼を担いたいと考えています。 そのため、国や市町村、不動産関連企業と連携を図りながら、新たな工業団地の整備や人材の育成、確保、道路をはじめとするインフラ整備等について、全力で取り組んでまいります。 次に、TSMCの進出による地域住民へのメリット及び住民の不安への対応についてお答えします。 TSMCの進出は、投資や雇用といった経済的な効果にとどまらず、固定資産税などの税収の増加による行政サービスの向上、さらには教育、文化、スポーツにおける国際交流の促進など、様々な波及効果を生み出します。 また、議員御指摘のとおり、今後、台湾などから多くの方々が熊本にお越しになり、地域で生活を営まれます。県としても、これらの方々が安心して熊本で生活でき、地域の一員として円滑に受け入れられ、地域住民と交流、共生していくための取組を進めることが必要であります。 そのため、私は、半導体産業集積強化推進本部の下に、新たに生活サポート部会を設置いたします。 この部会では、台湾からの赴任者や御家族などのニーズをしっかりと把握し、市町村や商工団体と連携しながら、きめ細かな対応を図ってまいります。そして、外国人と地域住民の双方が、熊本に来てよかった、台湾の方々が来てくれてよかったと思ってもらえるような環境づくりをしっかりと進めてまいります。 引き続き、台湾からお越しになる方々はもちろんのこと、企業や地域で暮らす全ての人々が進出のメリットを享受できるよう、全庁一丸となって取り組んでまいります。  〔中村亮彦君登壇〕 ◆(中村亮彦君) TSMCの進出に当たっては、大変大きな経済効果があるというようなことで、これはもう地元でも大変喜ぶ声が多く、そしてまた、2024年末に開業の準備を今急ピッチでされておられるところでありますけれども、これはもう質問の中でも申しましたように、県全体でもその準備を始めていかねばならないし、そしてまた、地元にとってもその準備を始めていかねばならないというふうに思います。 今知事の答弁の中で、企業誘致の進め方において、いろいろな施策を述べられたわけであります。これは、人材の確保、育成、これをすることも、あるいは下水、道路の整備をすることも、あるいは工場の用地を確保することも、これも全てこの当該地域においては経済施策だというふうに私は思います。 経済施策を打っていく上においては、もちろんマクロでそれは打っていかねばなりませんが、それを検証するときは、やはりミクロで検証していかねばならないというふうに思います。 ミクロの、じゃあ最大のところはどこかということを言いますと、これはやはり各個々の家庭の家計であったり、あるいはそこに住んでいらっしゃる住民の方々の豊かさだというふうに思うわけであります。 生活様式ももちろん変わるわけでありまして、その心配としては、やはり学校が足りなくなる、あるいは教育の問題、子育ての問題、これも関わってくる、そしてまた、異文化との交流、この交流を推し進めながら、そして共生する、このような社会をつくっていかねばならないというふうに思うわけであります。 このような生活環境の変化というものは、大変大きなものがあるというふうに思いますので、ここはしっかりケアをしながら、地元の自治体とも協議を繰り広げながら、そしてこの共生に向かってしっかりと対策を打っていく必要があるというふうに思います。 また、地域住民の方のみならず、商工業者の方々におかれては、特に小売業や飲食業の方々においては、ビジネスのやり方もこれから変わってくるんだろうというふうに思うわけであります。 ですから、ここは、地域の自治体だけではなくて、商工団体ともしっかりと協議を詳しくやっていただきたいというふうに思うわけであります。 それともう一つは、交通基盤の整備、これも必要になってくるというふうに思います。渋滞においては、TSMC進出が決まる前から、地域のこの朝夕の渋滞に関しては課題になっておるところでございますけれども、これからまたこの地域においても、しっかりと整備をしていかねばならない。 それには、今もう既に計画もされておりますし、これからその施策も進んでいくものというふうに思いますので、そこを踏まえて、次の質問をさせていただきたいというふうに思います。 セミコンテクノパーク周辺道路計画についてお尋ねをいたします。 セミコンテクノパーク周辺地域は、企業の誘致が進んだことで、周辺の幹線道路の交通量も増加し、渋滞や脆弱な道路ネットワークの問題が常に話題となっております。 この渋滞対策交通アクセスの対策は、これまでの議会において質問をしてまいりました。その結果、渋滞緩和に向けて、交差点の改良や通勤バスの運行などの短期対策のほか、中九州横断道路都市計画道路菊陽空港線の整備による道路ネットワークの拡充に取り組んでいただいており、私もこの対策の必要性を理解し、地元からも対応を歓迎する声を聞いております。 また、セミコンテクノパーク南側の第二原水工業団地では、TSMCの子会社、JASMの新工場の建設が進められておりますが、将来、この工場が稼働するのを機に、セミコンテクノパーク周辺における朝夕の渋滞がもっとひどくなるのではないかといった地元からの不安の声が私のところに届いております。 このため、私は、渋滞の悪化や地域住民の安心、安全が損なわれることがないように、計画的に道路整備を進めるべきと考えております。 その中でも、特に進捗状況が気になっておりますのが、菊陽町役場周辺や阿蘇くまもと空港方面へのアクセス強化道路ネットワーク拡充による周辺道路渋滞緩和、通学路への通過交通排除による歩行者及び自転車の安全確保等に効果がある菊陽空港線の整備であります。 前方のスクリーンを御覧ください。(資料を示す) 菊陽空港線は、今年3月に都市計画決定の変更を行い、6月の事業認可を経て、事業に本格着手をされております。 事業区間には、跨線橋等の大規模構造物があり、ハード整備に時間がかかることは承知しておりますが、令和6年12月にはJASMの新工場が稼働すると聞いておりますので、一日も早く道路整備の効果を発揮してほしいと考えております。 さらに、今年7月には、県の半導体産業集積強化推進本部会議において、企業集積に伴う新たな交通需要に対する取組として、大津植木線の多車線化と中九州横断道路合志インターチェンジアクセス道路の事業化に向けて概略設計に着手するという、渋滞対策交通アクセス対策の新しい方針が示されました。 この取組の背景となる企業集積の状況ですが、地元銀行による最近の調査では、菊陽町にTSMCの熊本進出が表明された昨年11月以降、国内外の半導体関連企業などおよそ100社から、菊陽町に土地を確保したいといったような相談が寄せられているそうであります。 また、菊陽町で土地が確保できなかった企業は、近隣の大津町、合志市、菊池市まで選択肢を広げて土地の取得を検討しており、開発可能な土地があれば、すぐに取引される状態が続いております。 また、今年9月に国土交通省が発表した2022年度の基準地価では、菊陽町の工業地が前年から31.6%上昇し、全国1位の上昇率となっております。大津町や菊池市でも、工業地の地価がこの1年で20%前後上昇するなど、セミコンテクノパーク周辺に進出する企業の動きが非常に活発なことが分かります。 このため、この機を捉え、地域経済の活性化はもとより、環境、教育、福祉などの生活環境の向上を図る必要があります。地域の生活や産業活動を支える道路ネットワークの役割は、さらに重要となり、最も根幹的な社会基盤である道路の整備を迅速に進めてほしいと考えます。 そこで、セミコンテクノパーク周辺渋滞対策アクセス対策として整備を進めている菊陽空港線、新たに取り組んでいかれる大津植木線の多車線化と合志インターチェンジアクセス道路の整備について、現在の具体的な取組状況について土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) セミコンテクノパーク周辺道路計画についてお答えします。 この地域では、県と菊陽町が連携して都市計画道路菊陽空港線の整備を進めております。加えて、TSMCの進出を契機とした新たな交通需要に対応するため、県道大津植木線の多車線化や中九州横断道路合志インターチェンジへのアクセス道路など、基幹となる道路ネットワークの強化に取り組むことといたしました。 まず、菊陽空港線の取組状況については、本年6月に県と菊陽町が合同で地元説明会を開催し、その後、用地に係る境界の立会いや建物等の調査を行い、9月から用地交渉を進めております。 また、JR豊肥本線をまたぐ橋梁部については、既に詳細設計が完了し、現在、鉄道事業者と、施工の役割分担や工程調整など、工事の円滑な実施に向けた協議を行っております。 次に、セミコンテクノパークの南側を通る大津植木線の多車線化につきましては、世界有数の半導体生産拠点にふさわしい玄関口となるよう、将来の交通量増加を見据えた道路構造周辺環境と調和した道路景観の形成等について、具体的な検討を進めております。 合志インターチェンジへのアクセス道路については、国道57号と合志インターチェンジの間を結び、南北方向の道路ネットワークを強化するものです。現在、住宅密集地を避けて、一部がバイパスとなるルートを検討しており、今後、地元自治体と協議を進めてまいります。 この2つの道路については、今年度中に協議、検討を終え、速やかに詳細設計や用地測量に着手していきたいと考えております。 引き続き、国や地元自治体とも連携しながら、セミコンテクノパーク周辺道路ネットワークの整備について、スピード感を持って取り組んでまいります。  〔中村亮彦君登壇〕 ◆(中村亮彦君) セミコンテクノパーク周辺道路事情については、質問の中で申したとおりであります。 今土木部長の答弁からいきますと、菊陽空港線の延伸については、地元説明会や調査を経て、用地交渉がもう既に進んでいるというようなことで、大変安心をしておるところでございますけれども、先ほどのスクリーンにもありましたように、この菊陽空港線においては、JRの豊肥本線を橋梁でまたがなければなりません。そこのところがこの工事の一番ネックになるところだろうというふうに思いますけれども、時間がかかることは承知いたしておりますが、しっかりと協議を進めながら――これは距離としてはあまり長くない距離でありますので、早期の実現を期待するところであります。 また、大津植木線の多車線化と中九州横断道路合志インターチェンジアクセスでございますけれども、特にこの合志インターチェンジへのアクセスについては、これが、菊陽からつないでいって、そして大津西合志線にまずはつなぐというふうに思うんですが、ここがつながるだけでも、セミコン周辺渋滞緩和、非常に大きく進むことになるだろうというふうに思います。 そしてまた、中九州横断道路ができる頃あるいはできる前に、このアクセス道路によって向かいに行くというようなことで、これは大変地元としても期待が高いところであります。 合志市から空港に向かうということについては、非常にこれまでもあまりいい状態ではなかったわけであります。菊陽町の菊陽バイパスのほうに一回出て、そしてあの車の多い道路を通っていくか、もしくは真っすぐ大津植木線を抜けて325号線に入って、それから空港に行くかというようなことで、空港と合志市においては、非常に距離的には近いんですが、アクセスとしては非常に不便なところがあったということであります。 ここのところも同時に解決されるだろうというふうに思いますので、しっかりと自治体とも協議を繰り広げながら進めていただきたいというふうに思うわけであります。 それでは、次の質問に入ります。 県立技術短期大学校の人材育成の取組についてお尋ねをいたします。 私の地元である菊池郡菊陽町にある県立技術短期大学校は「熊本県産業(特に製造業)の高度化、高付加価値化に対応できる高度な技能および知識を兼ね備えた実践技術者を育成し、熊本県の経済社会の発展に寄与する」、このことを目的に1997年4月に開校し、以来、多くの人材を産業界に輩出してまいりました。 同校は、本県の製造業の中核拠点であるセミコンテクノパークのただ中に位置し、パーク内には、画像センサーで世界的に有名なメーカーであるソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社半導体製造装置で大手の東京エレクトロン九州株式会社をはじめ、多くの半導体関連企業が立地をいたしております。また、周辺には、本田技研工業株式会社三菱電機株式会社パワーデバイス製作所などの大手企業も立地し、まさに本県の産業活動の息吹を実感できる環境にあります。 現在、精密機械技術科、機械システム技術科、電子情報技術科、情報システム技術科の4つの学科に、1学年約100人、2学年で約200人の若者たちが、専門知識や実践的な技術の習得に向け、日々研さんを積み、将来の熊本の産業界を支える人材となるべく努力しておられます。 そのような中、御案内のとおり、同校の隣接地では、世界的な半導体企業TSMCの新工場が急ピッチで建設中であり、まさに日本の国家プロジェクトとしてのシリコンアイランド九州復活の取組の最前線にあると言えます。 一方、少子高齢化に伴い、日本の労働力不足が懸念される中、製造業においても、人材確保は重要な課題となっております。特に、TSMCの進出に伴い、多くの関連企業の本県への進出が相次ぐ中、地場企業も含め、人材獲得競争がさらに激化するのではないかとの懸念も漏れ伝え聞くところであります。 熊本県では、TSMC進出決定以来、県庁内に、知事をトップとする半導体産業集積強化推進本部を設置され、その下に設置した部会を中心に、渋滞、交通アクセス、教育環境、環境保全を含め、様々な課題に取り組んでおられるところでありますが、その中でも人材の育成、確保は、非常に重要な課題であると思われます。 県では、人材の育成や確保についても専門の部会を設置され、熊本大学をはじめとする地元の理工系大学、高等専門学校、高校等の教育機関や誘致、地場の主要半導体関連企業や民間の人材育成機関、また、九州経済産業局をはじめとする国の機関とも連携し、人材の育成や確保のための様々な取組を行っておられると伺っております。 そのような中、開校以来、厚生労働省所管の職業能力開発機関として多くの実践的技術者を県内の産業界へ輩出してきた県立技術短期大学校においても、今回のTSMC進出は、一つの大きな転機となり得る出来事であり、これまでの大学校の歩みを振り返り、将来に向かっての新たな飛躍を考えるべき時期ではないかと考える次第であります。 そこで、県立技術短期大学校におけるこれまでの人材育成とTSMCの進出を踏まえた新たな取組についてはどのようなものがあるか、商工労働部長にお尋ねをいたします。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) 県立技術短期大学校は、平成9年に開校し、今年で創立25周年を迎え、これまで約2,000人の実践的技術者を産業界に輩出してまいりました。 年によって変動はありますが、約8割の学生が県内の企業に就職しており、熊本の製造業を支えています。また、卒業生の3分の1に当たる約700人が半導体関連企業に就職し、ソニーや東京エレクトロン九州などの誘致企業や地場の主要な半導体関連企業の中堅技術者として活躍しております。 このように、同校は、長年にわたり熊本の地域産業に密着した実践的技術者の育成機関としての役割を果たしてきました。 一方、近年では、少子高齢化やAI、ビッグデータ、DX等のデジタル社会の進展など、社会の変化への対応も求められています。 そのため、既存のカリキュラムの見直しや企業関係者を講師に招いた講義など、地域産業と一体となった人材育成に着手しました。 あわせて、優秀で多様な学生を確保するため、今年度から、新たに事業主推薦、自己推薦や外国人留学生受入れの制度を導入したところです。 そのような中、TSMCの進出を契機として、半導体関連の人材需要はますます増大しており、同校が果たすべき役割の重要性も高まっています。 県内の産業界の期待に応えるためにも、議員御指摘のとおり、さらに魅力ある学校へ飛躍する必要があると認識しています。 そこで、県では、令和6年4月から、半導体に関する新学科を設置することを目指し、国等と協議を重ねながら、半導体関連のカリキュラムや設備機器の整備など、準備を進めています。 また、より優秀な学生を募り、高度な人材を育成するため、4年制大学への編入が可能となるよう、10月に構造改革特別区域法に基づく内閣府への申請を行いました。 同校は、厚生労働省所管の職業能力開発機関であり、従来、文部科学省所管の4年制大学への編入はできませんでしたが、特区が認定されれば、高度人材育成への新たな道が開かれることになります。その後は、令和6年4月の熊本大学への編入開始を目指し、同大学と具体的な協議を進めたいと考えています。 TSMCの本県進出を飛躍の大きなチャンスと捉え、地域社会に貢献し、熊本の産業発展に一層寄与できる学校となれるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔中村亮彦君登壇〕 ◆(中村亮彦君) 今の答弁によりますと、これまで2,000人が卒業して、そしてその8割が県内に就職、そしてまた、その3分の1の700人が半導体関連企業に就職されているというようなことで、恐らくこれから高まるであろう人材の需要については、大きな貢献を果たす教育がなされているというふうに実感をいたしておるわけであります。 実は、先日、経済環境常任委員会の視察でこの技大を視察させていただきました。そこでは、最新の機器を使って多くの学生がその最新技術を学んでいるというようなことでありましたけれども、本当にこの半導体関連のカリキュラム、そして設備機器の整備について、国に要望されているというような答弁でございましたけれども、これからさらに科学の進歩は日進月歩であることを踏まえますと、さらに最新の機器であったり、カリキュラムは必要なことだというふうに思うわけであります。 それに加えて、今度、外国人の留学生の受入れもされるというようなことで、大変間口が広くなった上に、この技大から熊本大学への編入も今申請されているということであります。 これは、文部科学省じゃなくて、厚生労働省の認可を得てやっている技大でありますから、そこら辺のところの協議というのもこれからさらにされていくところだろうというふうに思いますけれども、本当に毎年100人卒業されるこの優秀な方たちを、どうかこのセミコンテクノパーク周辺あるいは県内全体に広がるこの半導体企業に送り込んでいただいて、そしてその方々たちのこれからの活躍を願うばかりであります。 しっかりとこの大学校の進展については、協議を積み重ねながら進めていただきたいというふうに思うわけであります。 それでは、次の質問に入ります。 阿蘇くまもと空港の新旅客ターミナルビル開業に向けた取組についてお尋ねをいたします。 平成28年の熊本地震の際、空港のターミナルビルは、天井の落下や躯体の破損、段差の発生等、甚大な被害を受け、早期の復旧は困難ではないかという状況でありました。 しかしながら、国や県、そして当時の空港ビルディング株式会社の方々の懸命の御努力により、地震から3日後には国内線の一部の運航が再開されており、関係者の皆様方の御努力に改めて敬意を表するものであります。 そして、国内線が戻り、6月にはチャイナエアラインの台湾・高雄線が復便し、翌年2月に空港ビルの完全復旧を迎えました。 そのような中、平成28年12月の議会において、知事は、空港を創造的復興のシンボルとして、また、災害に強く、地域経済浮揚の起爆剤とするため、新たなターミナルビルの建設が必要と判断され、設計の段階からコンセッション方式の導入を目指すことを表明されました。 あれから6年、空港運営は、民間である熊本国際空港株式会社に移行し、コロナ禍にありながらも、当初のスケジュールどおり、来年の3月23日に阿蘇くまもと空港の新旅客ターミナルビルが開業をいたします。 現在、開業に向けて着々と工事が進められており、ターミナルビルの外観が姿を見せ、真新しいビルの様子を確認することができます。 新たなターミナルビルは、国内線と国際線が一体となり、滞在型ゲートラウンジが整備され、最新の機器が導入されるなど、利便性が大きく向上すると聞いております。さらに、空港敷地内に太陽光発電設備が設置され、SDGsにも配慮した施設になると伺っており、私としても、大変期待をいたしております。 熊本国際空港株式会社のマスタープランによると、2051年度の目標値として、旅客数について、これまで過去最高を記録した平成30年度の346万人を622万人に増加させ、また、路線数については、現在の国内線、国際線を合わせた11路線を28路線に増加させるなどの目標が掲げられております。 今後、本県を訪問いただくであろう国内外の多くのお客様の出会いと交流の場として、新旅客ターミナルビルが魅力あふれる空の玄関口となることを確信しております。 また、本県では、大空港構想Next Stageに基づく空港のポテンシャルを最大限に引き出し、空港周辺地域を熊本県の経済を力強く牽引する地域に、また、誰もが安心して便利に暮らせる地域にするため「空港」「産業」「くらし」の3つの目指す目標を設定し、あらゆる施策に取り組んでおります。 私も、空港周辺地域の発展は、今後さらに重要であると認識をいたしており、新しく生まれ変わる空港が、これまで以上に地域経済を牽引していく役割を担っていくためには、周辺地域との連携が必要不可欠であると考えます。 例えば、空港において、地元商工会などと連携し、特産品などの販売を行うことで、地域とのつながりが強くなり、また、常ににぎわいのある空港になるのではないかと考えております。 そこで、2点質問です。 1点目は、新旅客ターミナルビルの開業に向けた準備状況について、どのような状況か。2点目は、空港周辺自治体や地域とどのように連携していくのかについて、開業後の整備スケジュールも含めて、企画振興部長にお尋ねをいたします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) まず、1点目の阿蘇くまもと空港の新旅客ターミナルビルの開業に向けた準備状況についてお答えをいたします。 新旅客ターミナルビルにつきましては、現在、建物の最終工事が行われており、年明け1月には、施工業者から熊本国際空港株式会社へビルの引渡しが行われます。引渡し後は、航空会社による内装工事やオペレーションの確認などが予定されており、計画どおり準備が進んでいます。 なお、新旅客ターミナルビルは、国内線と国際線が一体となった4階建てで、滞在型ゲートラウンジには、熊本の食べ物やお土産を楽しめるテナントが配置されます。 また、保安検査場には、複数のスマートレーンを設置するほか、デジタル技術を活用することで搭乗手続の迅速化を図るなど、利便性が向上いたします。 次に、2点目の空港周辺の自治体や地域との連携についてお答えいたします。 新旅客ターミナルビル開業後、隣接する現国際線ターミナルビルを解体し、その場所に地域に開かれた広場を整備して、空港ににぎわいをつくる計画となっており、令和6年夏頃に供用開始予定です。 地域に開かれた広場では、地域の特産品を取りそろえた物産展や地域の方々が参加するマルシェの開催など、様々な催しが想定されています。 空港周辺地域の皆様をはじめ、より多くの皆様に地域に開かれた広場を御活用いただき、にぎわいのある空港になることを大変期待しています。 今後も、熊本国際空港株式会社、空港周辺地域の皆様と一緒になって、阿蘇くまもと空港の拠点性を高めて、地域に開かれた空港、地域に愛される空港となるよう努めてまいります。  〔中村亮彦君登壇〕 ◆(中村亮彦君) 2023年3月ということでありますから、もうこの開業は目の前ということであります。 先日、この空港の――工事中でありましたけれども、視察をさせていただきました。まだクロスも張ってないような状況でございましたので、まあ中身については大体想像がつく感じでありましたけれども、本当に地震前にあった空港からすると、スケールも大きくて、施設もすごい造りで工事が進んでいるなというふうに思ったわけであります。 大変期待するところでありますけれども、この空港、3月にオープンをいたしますけれども、それで終わりではなくて、その隣にあります旧国際線のビルを直ちに取り壊して、そしてそこに広場を設けられるということであります。 答弁によりますと、地域に開かれた広場というふうにおっしゃいましたが、今度の新しい空港のコンセプトとしては、地域に開かれた空港というようなことをキーワードに、これから新空港を展開していかれるということでございます。 本来ならば、今度の新ターミナルビルの商業施設の中に、例えば空港周辺地域でできた農産物、農産加工品あるいは地域の特産品が並んでいるというようなことも私は期待をいたしておったわけでありますけれども、なかなかやっぱり空港の中の売店だとか商業施設に入るところは、熊本の有名な特産品であったりとか、あるいは全国でも有名なチェーン店の方々が入られる。これは、やっぱりテナント料の問題もありますし、価格設定の問題がありますから、なかなかやっぱりそうはいかないだろうというふうに思ったわけであります。 しかし、このビルディングが建って開業したのがスタートではなくて、本当のスタートは、その隣にできる地域に開かれた広場、ここでいろんなコミュニケーションが取られるということで、この前視察のときも新原社長とお話を少しさせていただきましたけれども、そのようなことをやっぱり目標として掲げられているようであります。 その広場のところでも、いろんな周辺の取り囲む自治体、これは熊本市、益城町、西原村、大津町、菊陽町というこの1市3町1村でありますけれども、この近隣の地域の特産品あるいはイベントを通じてそこで紹介する、そしてにぎわいをこれから保っていくというようなことで、しっかり地域と連携していただきたいというようなことを新原社長にもお願いを申し上げたわけであります。 でも、県としても、この国際空港株式会社においては、2%でありますけれども、出資をされていると、そして役員も送り込んでおられるというようなことでありますから、もちろん民間で運営されるわけでありますが、県も、お金も出したんだから口も出すというようなことで、連携を深めていただきたいなというふうに思います。 そして、周辺の自治体の議会の方々、これはコロナがはやる前でありますけれども、周辺の議会議員の方々が集まっていろんな――その当時は空港アクセスとこの新ターミナルの議論でありましたけれども、そのようなことで議論を繰り返してきたというようなこともありました。しかし、コロナでこれが止まっておりますので、これもしっかりと再開して、そして地域連携を深めていただきながら、にぎわいのある空港、これをしっかりと目指していただきたいというふうに思っておるところでございます。 それでは、最後の質問に入りたいと思います。 白川中流部の河川整備の取組についてお尋ねをいたします。 私は、令和3年2月定例会で質問に立ち、白川河川改修の取組について質問をしましたが、当時の土木部長からは、熊本市区間、菊陽町・大津町区間、阿蘇市区間の3区間で同時に進めていくために、上下流の治水安全度のバランスを考慮しながら、河川整備計画に位置づけた河川改修を着実に進めていくとの答弁を頂きました。 近年、気候変動の影響により全国各地で豪雨災害が激甚化、頻発化しており、今年8月の大雨でも、北海道、東北、北陸、近畿地方の日本海側を中心に、堤防決壊や越水、溢水による氾濫などによる甚大な浸水被害が発生をいたしました。 熊本県においても、今年9月に非常に強い勢力で九州を縦断した台風14号では、記録的な豪雨により県内各所で災害が発生し、改めて自然の脅威を痛感いたしました。 白川では、昭和28年6月の熊本大水害をはじめ、昭和55年8月豪雨や平成2年7月豪雨など、古くから大雨による浸水被害に苦しめられてまいりました。最近では、平成24年7月の熊本広域大水害を契機に、上流部の阿蘇黒川区間の遊水地の整備や下流部の熊本市区間の河道掘削など、激甚災害対策特別緊急事業による大規模な河川改修が行われました。 しかし、穀倉地帯が広がる中流部の菊陽町・大津町区間は、昔から農業用水のために築造されてきた固定堰が治水上のボトルネックとなっておるなど、下流部に比べ整備が遅れております。 河川管理者である国と県は、治水、利水の両面から、令和2年1月に白川水系河川整備計画を変更し、ようやく中流部が加えられ、毎秒1,500立方メートルの流量を安全に流すことを目標として、新たな河川整備が具体的に示されました。 白川の河川整備については、上流部の阿蘇黒川区間、中流部の菊陽町・大津町区間、下流部の熊本市区間の3区間を同時に進めていることから、菊陽町、大津町の沿線住民も大変喜んでおります。 そこで、中流部の菊陽町・大津町区間の河道掘削、堤防整備、堰の改築といった河川整備の現状と今後の取組について、土木部長にお尋ねをいたします。  〔土木部長亀崎直隆君登壇〕 ◎土木部長(亀崎直隆君) 白川中流部の河川整備の取組についてお答えします。 白川では、令和2年1月に取りまとめた河川整備計画に基づき、県が管理する区間の河川整備や国が来年の出水期からの洪水調節機能の発揮に向けて進めている立野ダムの整備などにより、流域全体で安全、安心を確保していくこととしております。 中流部の菊陽町と大津町の区間におきましては、毎秒1,500立方メートルの流量を安全に流すことを目標として、下流から整備を進めることとしております。 これまでに、下流側のみらい大橋から辛津橋までの2.3キロメートルの区間について、堤防整備や河道掘削の調査、設計を完了し、本年6月には、住民の皆様へ事業計画の説明会を開催いたしました。 現在は、用地測量を進めており、用地取得後は速やかに工事に着手してまいります。 また、さらに上流側の整備に向けて、鼻ぐり大橋から上流の5.4キロメートルの区間につきましても、馬場楠堰の改築や堤防整備等の設計に着手しており、順次整備を進めてまいります。 県としましては、これらを着実に進めるとともに、近年の気候変動による水災害リスクの増大に備えて流域治水を推進し、白川流域の安全、安心の確保に向け、取り組んでまいります。  〔中村亮彦君登壇〕 ◆(中村亮彦君) 白川の治水、利水については、私は白川の沿岸に住んでおりまして、白川においては、本当に私も愛着を持っておりますし、また、この白川の水によっていろんな農作物ができたり、農業に貢献したり、本当にこの自然の恵みに私たちは生かされているわけでございます。 しかし、その自然の恵みといいましても、一旦この自然が牙をむきますと、私たちの経験や知識あるいは英知に至るまで、一遍に飲み込んでしまうと、そのような状況であります。 自然の猛威に、改めてこれを認識するわけでございますけれども、本当に白川の整備においては、これから3区間に分けて、それが同時スタートということになりましたので、本当に沿川の住民にとっても大変期待が高いものとなっております。しっかりと進めていただきたいというふうに思うわけであります。 先ほど自然の猛威のお話をしましたが、私は、実は小学校2年の夏休みでございましたけれども、1回白川に流されたことがございまして、上級生と一緒に白川で遊んでおりましたら、その白川の水が一気に、濁流が上流のほうから来まして、実際胸の高さぐらいだったんですけれども、一気にひっくり返りまして、そしてそのまま白川に流されたというような経験がございます。 その頃、私が一番年が下で、上級生の方ばっかりだったんですが、上級生の方も、そのときの小学生ってやっぱりたくましかったのか、その流れに乗って左岸側のほうの草にしがみついて助かったと。私は、そのまま流されましたので、どうやって助かったかといいますと、皆さん御存じかもしれませんが、川には魚を取るやながございます。このやなに私は引っかかったということであります。 恐らく、今の時代で言うなら、もう夕方のニュースに出てもいいぐらいの出来事でございましたけれども、その当時は事なきを得たということでございます。 小学校2年、8歳のときにこの自然の猛威を体感したということでございますので、この白川の整備には、これからも私も少し口を出していきながら臨んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。 こんなに時間が余るとは私思っておりませんでしたので、もう一般質問はこれで終わらせていただきますが、議員の皆様方におかれましては、最後までの御清聴、本当にありがとうございました。(拍手) ○議長(溝口幸治君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時56分休憩    ――――――○――――――  午前11時6分開議 ○議長(溝口幸治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 河津修司君。  〔河津修司君登壇〕(拍手) ◆(河津修司君) おはようございます。阿蘇郡選出の自民党・河津修司でございます。 私は、先ほど中村議員の発言のようには赤飯は、もう今日はホテルから来ましたので、食べてきておりませんけれども、そしていつもこの質問の際には最後が詰まってきて、最後何を言っているか分からなくなりますので、しっかりと今日は早めに始めたいと思います。 1点目の質問ですが、南阿蘇鉄道の復旧とJR乗り入れについて質問させていただきます。 熊本地震では、道路や鉄道等のインフラが被災しました。発災後6年を経過し、国や熊本県の応援や市町村のたゆまない努力により、新阿蘇大橋をはじめ、多くのインフラは、まさに創造的復旧を果たすことができました。改めて、国や熊本県へお礼を申し上げます。 阿蘇地域でまだ復旧していないインフラは、大切畑ダムと南阿蘇鉄道ですが、大切畑ダムは、本議会におきまして、復旧工事の変更契約が提案されておりますので、ここでは南阿蘇鉄道について質問させていただきます。 南阿蘇鉄道は、熊本地震で第一白川橋梁の架け替えなど難工事が続きましたが、いよいよ全線復旧が見えてまいりました。地元においても、通勤通学あるいは観光への期待が大きく膨らんでおります。震災後の県や国、JR、支援いただきました人々に感謝申し上げます。 あわせて、全線開通と同時に、JR肥後大津駅まで乗り入れができる見通しであることに大きく期待しています。まずは、安全に、スムーズな運行ができますことを願っております。 肥後大津駅まで乗り入れられますと、阿蘇観光、通勤通学、通院にも利便性が大きく向上します。全線復旧後は、多くの観光客が乗車されることが想定されます。 また、知事から、空港アクセス鉄道は肥後大津ルートとすることが表明され、将来、空港アクセス鉄道の分岐駅が肥後大津駅になれば、空港までワンストップで行けるようになり、大変期待をしているところです。 今回の空港アクセス鉄道の計画は、南阿蘇鉄道の車両がJR肥後大津駅まで乗り入れるのに支障はないかと思いますが、南阿蘇鉄道の全線復旧とJR乗り入れに向けては、順調に進捗しておりますでしょうか。 また、南阿蘇鉄道は、もともと乗客の少ないローカル線ですが、創意と工夫で乗客を増やしてきておりました。震災で長年不通あるいは一部不通が続きましたし、一昨年からの新型コロナウイルス禍で観光客の大幅な減少、いまだに復興へのハードルが高い海外からのインバウンド等の状況で、路線全線開通やJR豊肥線乗り入れ、高森高校のマンガ学科といった経営への明るい兆しがある一方で、南阿蘇鉄道の経営は厳しいものがあります。 そのような中、南阿蘇鉄道からは、導入から15年が経過したトロッコ列車は、旧国鉄時代からの貨物車を改造して使用しているため、全線復旧を機に全面リニューアルをしたい、また、観光の側面としてはトロッコ列車がメインとなるが、何度も訪れたくなる南阿蘇鉄道を構築するため、新たな観光列車の導入を行いたい、まず、令和5、6年は『ONE PIECE』コラボ列車の運行となっておりますが、令和7年度以降の検討が必要だということ、また、場合によっては、中松から立野間に離合箇所が必要になるかもしれないという、このような要望も出ています。 このような課題に対応するため、全線復旧後も、南阿蘇鉄道の将来的な課題について、関係者でよく協議をして、南阿蘇鉄道を支援していくべきだと思いますが、県としてどのように関与していくおつもりでしょうか。 つきましては、南阿蘇鉄道の全線復旧及びJR乗り入れに向けた進捗状況、今後の南阿蘇鉄道に対する県の支援の在り方、以上2点について、知事へお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) まず、1点目の南阿蘇鉄道の全線復旧とJR乗り入れに向けた進捗状況についてお答えします。 熊本地震で甚大な被害を受けた南阿蘇鉄道の復旧については、創造的復興に向けた重点10項目の一つとして、国の強力な御支援も頂きながら、県として重点的に支援してまいりました。 現在、最大の被災箇所であった第一白川橋梁が架け替えられ、立野駅方面へのレール敷設も進み、今年度中に全ての災害復旧工事が完了します。いよいよ来年夏には、立野―高森間の全線で運行を再開できる見込みです。 また、全線の運行再開と同時に、JR豊肥本線への乗り入れを開始すべく、鉄道事業者間において、スムーズな運行のための具体的な協議が進められ、線路の延伸工事が行われるなど、着実に進捗しています。 議員御指摘のとおり、肥後大津駅への直接乗り入れは、沿線住民の通勤通学のみならず、新型コロナにより苦境に立つ阿蘇観光の復活にも大きく寄与するものです。 さらに、肥後大津駅からの空港アクセス鉄道が実現すれば、熊本空港や熊本駅など本県の玄関口へのアクセス向上や九州全体の鉄道ネットワークの強化につながります。阿蘇をはじめとした県全体の観光、経済活動の活性化に、また大きな弾みがつくものと、心から期待しています。 県民が待ち望んだ南阿蘇鉄道の全線復旧とJR豊肥本線への乗り入れを、熊本地震からの創造的復興の仕上げとして、地元と一丸となって盛り上げてまいります。 次に、2点目の今後の県の支援の在り方についてお答えします。 南阿蘇鉄道の復旧を熊本のさらなる発展につなげるためには、全線復旧後も安定的に運行できることが不可欠です。 県と沿線自治体で、本年4月に、一般社団法人南阿蘇鉄道管理機構を設立いたしました。全線復旧に当たっては、上下分離方式を採用いたします。 全線復旧後の鉄道施設の維持管理については、県も参画するこの機構が中心的な役割を担うことになります。県として、将来にわたって持続可能な運行を実現できるよう、機構の運営に積極的に関与してまいります。 全線復旧後も、沿線自治体や南阿蘇鉄道株式会社と連携し、熊本地震という逆境から見事に復活を遂げる南阿蘇鉄道をしっかりと支えてまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) これまでのところ順調に来ているということで、JR肥後大津駅まで南阿蘇鉄道が乗り入れられるということで、非常に私どもも期待しております。 そしてまた、その後の運営につきましては、県も参画します南阿蘇鉄道管理機構が中心的な役割を担うというようなことでありまして、これからも県がしっかりと支援をしていくということで、本当に私たちも頼もしく思っております。知事の表明に心から感謝申し上げます。よろしくお願いいたします。 続きまして、2点目の世界文化遺産登録に向けてを2点質問させていただきます。 まず1点目でありますが、登録に向けての現状と県の今後の取組についてを質問いたします。 私は、阿蘇の世界文化遺産登録の質問は、ここに登壇するたびに何回も質問してきました。それは、阿蘇の自然、景観、歴史、文化、人々の営み、どれをとってもすばらしく、世界に誇れるものであり、総合的に見て世界文化遺産にふさわしく、早く登録なるべきだと強く思うからです。 今回は、少し視点を変えて質問したいと思います。 本年2月1日には、新潟県の佐渡の金山が、世界遺産登録に向けて日本政府から推薦されました。しかし、ユネスコから推薦書の不備を指摘され、再度推薦書の提出に向け作業していると聞いています。早く登録されることを祈っていますが、早くても2024年の登録となるようです。そうなると、暫定一覧表の見直しの審議にも影響が出る可能性があります。 平成21年に、県と阿蘇の7市町村で阿蘇世界文化遺産登録推進協議会を立ち上げ、草原を中心とした景観の保全、子供たちをはじめ、多数の人々へ周知啓発やシンポジウムの開催、文化財の登録をはじめ、阿蘇の文化的価値の発信など、様々な活動を行い、登録準備をしております。 暫定一覧表の見直しに時間を要する可能性はありますが、登録準備は続けていくべきだろうと思います。ただ、時間がないように感じます。それは、阿蘇の草原を維持するのが厳しくなっていきそうな気がするからです。 そこで、一年でも早く登録するには、日本の阿蘇から世界の阿蘇へになることが近道ではないでしょうか。世界中の人々に阿蘇のすばらしさを理解してもらうことが大事だと思います。 今回、文化遺産としての阿蘇の価値をさらに深めるために、国内外から専門家を招き、現地視察やシンポジウムが開催されました。 世界文化遺産関係で国際シンポジウムが開催されるのは初めてということですが、国内外の専門家が、阿蘇は有力だと評価していたように思います。特に、外国の専門家から、わおという言葉が出たと聞きました。まずは目に入る映像に感動してもらうことが大事です。思わず、わおという言葉が出たということは、強い感動を受けたということでしょう。 国内の人々からは、阿蘇の魅力は分かってもらえていると思いますが、世界遺産登録を果たすためには、外国の人々に、この阿蘇の景観を形成するためにどれだけの年月と人の営みが必要だったかを理解してもらうのが大事であり、外国の人から評価してもらうことが大切だと思います。 世界農業遺産のときもそうでしたが、外国の専門家の理解がいかに大事かを痛感しました。世界には、ただ広いだけの草原は幾らでもあります。そういうところを見慣れている人々からすれば、草原の景観は珍しくないかもしれません。しかし、日本は、温暖湿潤気候に属し、雨の多い日本で、森林化させずに草原を維持するのにどれだけの労力を必要とするかを理解してもらうには、阿蘇に来ていただき、説明を受け、体で感じ取ってもらうのが大事です。 そのために、数多く来てもらう機会をつくる必要があるかと思います。これからも、国際シンポジウムを多く開催して、外国の人の理解を深めるのが登録への近道ではないでしょうか。 そこで質問ですが、国内での暫定一覧表の見直しが行われる見込みはどうでしょうか。すぐにはないにしても、その準備はしていくべきだろうと思いますが、世界文化遺産登録に向けての現状と日本の阿蘇から世界の阿蘇へ、県の今後の重点的な取組について、知事にお聞きします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕
    ◎知事(蒲島郁夫君) 阿蘇の世界文化遺産登録に向け、本年1月、文部科学大臣に世界遺産暫定一覧表追加に係る提案書を提出した際、文部科学大臣から、資産の法的保護をさらに進めるよう御指摘がありました。 その御指摘を踏まえ、8月には、阿蘇市及び産山村が、文部科学省に草原の重要文化的景観の追加選定の申出を行いました。 また、議員御紹介のとおり、10月に海外有識者を初めて招聘し、阿蘇の景観を視察いただきました。4日間の視察後に開催したシンポジウムにおいて、阿蘇は、人と自然の共生に価値があり、世界文化遺産にふさわしいとの評価を頂きました。あわせて、海外有識者から、阿蘇の景観を維持していくための助言を頂くなど、大変有意義な機会となりました。 さらに、11月には、東京で阿蘇の世界文化遺産登録推進シンポジウムを開催し、首都圏の方々に世界に誇る阿蘇の価値をお伝えすることができました。この内容については、今月中に全国紙の首都圏版に掲載する予定であります。 今後も、阿蘇の世界文化遺産登録推進のため、このような取組を行っていきたいと考えています。 一方、国においては、世界遺産暫定一覧表の見直しが行われていますが、現在のところ具体的な時期は明らかにされていません。 見直しの時期にかかわらず、引き続き、市町村等と連携し、資産保護のための文化財保護法による措置、景観の保全など、今やるべきことに全力で取り組んでまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 登録に向けた取組を着々と進めておられるということで、少しは安心しました。 世界農業遺産のときもそうでしたが、イタリアから来た専門家は、心ここにあらずというふうで、阿蘇の草原にあまり関心を示さずに、なぜか早く大分県に行きたがっていたように感じました。それで、数日後に副知事とイタリアンシェフの方にイタリアまで行っていただき、説明をして、納得して認定につなげたというような経緯もありました。 登録するには、やはり外国の方の理解、支援が鍵だろうと思っておりますので、知事は、外国暮らしも長く、外国の御友人も多くおられますので、まさに釈迦に説法ではありますが、私の思いを述べさせていただきました。よろしくお願いいたします。 続きまして、世界文化遺産登録に向けての阿蘇の野焼きについてを質問させていただきます。 阿蘇の草原は、世界文化遺産を目指す上で不可欠な構成資産です。しかし、その草原を維持するために行う野焼きには、様々な課題があります。 阿蘇地域では、毎年3月に、草原維持のため、雑木の撤去とダニの駆除を目的として、阿蘇北外輪一帯や五岳周辺を中心に、阿蘇7市町村の牧野で火入れを行っております。現在、牧野面積は、約2万2,000ヘクタールほどあります。このうち約1万6,000ヘクタールで牧野組合等による野焼きが実施され、阿蘇の草原が維持されています。 昭和40年代までは、農作業に多くの牛馬が使用され、有畜農家数も多く、牧野は放牧地として活用されており、農作業に使用する牛馬を夏山冬里方式で牧野に放牧して養ってきました。 放牧に使用する牧野の多くは、入会地で、牧野の維持管理を目的として実施される3月の野焼きは、阿蘇の農家には、その年の農作業開始の重要な行事として実施されてきました。 ところが、阿蘇地域の少子高齢化や有畜農家数の減少により、農業後継者不足が常態化し、放牧に利用しない牧野面積の増加や野焼きを中止した牧野が点在することで、野焼きが難しくなってきております。 また、阿蘇の草原は、家畜の放牧利用のみならず、豊富な地下水を育む役割があり、草原の維持管理は、地下水の保全にも必要不可欠です。 そこで、野焼きによる草原再生への意向が高まり、主に野焼きをボランティア等でサポートする公益財団法人阿蘇グリーンストックが平成7年4月に設立されました。当財団は、野焼き支援ボランティアの育成や草原の重要性を広報する業務等に貢献しています。 現在、阿蘇の野焼きは、後継者不足が深刻な牧野組合へ阿蘇グリーンストックが派遣するボランティアにより辛うじて行われております。 野焼きでは、森林や道路への延焼を防ぎ、面積を区切って火入れをするために、前年の秋には、防火帯をつくるため、輪地切り、輪地焼きを行います。これによって山火事を防ぎます。 また、野焼きには、牧野の地形や野草の状況を判断し、安全に実施する上で、経験豊富なリーダーが火入れの指揮、指導をします。しかし、自然相手であり、突然、風向、風速が予期しない状況となり、火災旋風を起こし、10メートルを超えるような大きな炎となったりします。時には、炎は、輪地を越え、森林へ燃え移り、地元の方やボランティアが巻き込まれたり、重篤な事故になることもあります。また、観光客の中には、立入禁止区域に入る方もおられ、車両火災が発生した事案もあります。 森林火災になれば、森林所有者への賠償が発生します。森林火災の補償は、牧野組合等がしなければなりません。これも野焼きをする牧野組合等への負担となり、野焼きが衰退する要因でもあります。 家屋等の火災には火災保険がありますが、野焼きは火災保険の対象となりません。また、実施主体が牧野組合ですので、公的な補償もありません。結局、全ての責任は、火入れをした牧野組合や地元住民が負うことが多くなります。 阿蘇の草原は、長い歴史を持ち、我が国にとって唯一無二の資産であり、熊本県の観光には欠くことのできない重要な資源でもあります。熊本の水を育むために不可欠な草原を維持する阿蘇の野焼きの火を消してはいけないと考えております。 私は、保安林の役割と重要性は理解しておるつもりですが、しかし、まずは野焼きの延焼による火災を未然に防止するために、草原内に点在する保安林において、国立公園内の公園事業として実施する防火帯の設置や樹林帯の伐採等に限っての保安林解除あるいは延焼防止に効果的な恒久防火帯整備等の支援の強化をお願いしたいと考えています。 また、万が一火災が発生した場合の損害賠償に備え、保険の商品開発を国とともに保険会社へ強力に働きかけるなど、牧野組合が安心して野焼きを行うことができる環境を整えていただけないでしょうか。 以上、2点を企画振興部長へお尋ねします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 1,000年以上もの間、阿蘇地域の人々の放牧や野焼きなど、生活の営みにより形成されてきました阿蘇の草原は、世界文化遺産登録に向け、最も重要な資産と認識しています。 まず、1点目の保安林の指定解除については、権限を有する林野庁と調整するとともに、環境省と連携し、解除に伴う手続やスケジュール等を整理の上、本年7月に、地元市町村に対して説明会を開始いたしました。 これを受け、現在、阿蘇市と南阿蘇村が、保安林解除に向けた準備を進めているところです。 防火帯につきましては、公益財団法人阿蘇グリーンストックと連携して整備を行っているほか、環境省に対して、恒久防火帯の整備などを補助対象とする自然環境整備交付金予算の確保や対象地域の拡大を要望しました。 次に、2点目の野焼きの延焼による森林火災等への損害賠償については、議員御指摘のとおり、牧野組合が森林所有者等から損害賠償を請求されるケースが発生しているため、現在、環境省とともに、損害賠償保険の新たな商品開発について、複数の保険会社と協議を行っています。 今後も引き続き、野焼き支援ボランティアの確保や火災の未然防止につながる恒久防火帯の整備など、牧野組合が安心して野焼きを継続できる環境づくりに向けて、国や関係者とともに積極的に取り組んでまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 草原内に点在する保安林においては、林野庁、環境省と掛け合っていただき、解除に必要な手続を進めて、現在、阿蘇市と南阿蘇村が解除に向けて準備を進めているそうですが、まさに一歩も二歩も前進だろうと思っております。 また、防火帯については、環境省に対して、恒久防火帯の整備をする予算の確保などを要望しているということでありますが、成果が上がることを期待しております。これからもよろしく、国への働きかけをお願いしておきます。 また、2番目の損害賠償の件ですが、環境省とともに、損害賠償保険の新たな商品開発については、複数の保険会社と協議を行っているということでありますが、小さな牧野組合でも、あるいは財政力の弱い自治体でも加入ができるような仕組みをぜひ考えていただければと、それを実現していただければ大変ありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 続きまして、阿蘇地域の観光について質問させていただきます。 全国的にも県内も、観光業、飲食業は厳しい状況と聞いています。2011年3月に東日本大震災、2016年4月には熊本地震が起きました。また、地球温暖化による気候異変は、様々な大水害を起こし、一昨年は、人吉・球磨地域をはじめ県南地域で、あるいは県北の一部でも大水害が起きました。それに加えて、新型コロナが波状的に大流行し、経済に悪影響を与えています。 阿蘇の観光については、他地域に比べて、熊本地震前の2015年と比べて宿泊客数の減少幅が大きく、いまだ地震前の水準に戻っておらず、阿蘇観光の復興は道半ばと言えます。 この状況を打破するために、国、県におかれましても、様々な対策をしていただいております。 10月11日より開始された全国旅行支援事業では、人気があり過ぎて予約が取れない、ネットがつながらない、1日で販売の予算枠に達したなど、ホテル、旅館など現場で混乱もあったと聞いていますが、国のGoToトラベル事業、県のくまもと再発見の旅、県民割、九州ブロック割、全国旅行支援あるいはASO FESTi-vacation 2022 夏、阿蘇復興太鼓 DAICHI no HIBIKIなどなど、様々な施策をしていただいておりまして、ありがたく思っております。 また、来年秋には、ツール・ド・九州が阿蘇で開催されます。 ツール・ド・九州は、九州の経済団体トップと各県知事で構成される九州地域戦略会議において、九州でのサイクルツーリズムの推進、近年九州を襲った自然災害からの復興を象徴するイベントとして開催を決定し、2023年10月6日から9日にかけて、福岡、熊本、大分で実施する、UCI、国際自転車競技連合の公認のサイクルロードレースです。 日程は、大会初日に、北九州市小倉城周辺を周回するコース、2日目に、北九州市から大牟田市までのアップダウンに富んだコースを、そして3日目に、熊本県は南小国町・瀬の本高原をスタートし、県道11号別府一の宮線、通称やまなみハイウエーから阿蘇市・箱石峠を越え、南阿蘇村のアスペクタ周辺を周回するコースで、最終日は、大分県日田市の日田オートポリスをスタートし、日田市中心部でスプリントを展開するイベントです。 当大会は、世界を目指す競技者にとって飛躍する機会となるとともに、ロードレースに関わる幅広い人材育成に寄与し、九州のサイクルスポーツの普及拡大、世界に誇れる美しい自然や風景を発信することによる地域ブランディングへの貢献など、大きな期待が寄せられています。 昨今の自転車ブームの中での新しい試みであり、阿蘇の魅力が引き出されるのではと期待しているところです。しっかりと準備を進めていただきたいと思います。 さらに、県では、県内各地に点在する震災遺構等を巡る回廊型のフィールドミュージアム「熊本地震 記憶の廻廊」の整備を進められています。来年夏には、この拠点となる体験・展示施設が南阿蘇村に開館する予定となっています。 2度の強震で、貴い人命や住宅やインフラに多大な被災を受けた熊本地震の被害を後々に伝えるものとして貴重な施設であるとともに、既存の観光施設と連携する新しい観光拠点として、阿蘇、県全体への波及効果を期待しています。 今後の同館の運営を支えるために、入館者の増加、中でも被災を学習するための教育旅行の対策等が必要と考えております。例えば、教育旅行の学習テーマとして、熊本の歴史を物語る熊本城や水前寺公園あるいは火山等の阿蘇の自然をテーマとする阿蘇火山博物館との連携等も考えられます。 阿蘇地域の観光は、熊本県の観光の引っ張り役であると考えますが、阿蘇観光の現状とこのような新しい動きなどを活用した振興策について、観光戦略部長にお聞きします。  〔観光戦略部長原山明博君登壇〕 ◎観光戦略部長(原山明博君) 阿蘇地域の観光についてお答えします。 阿蘇地域の宿泊客数は、令和元年には熊本地震前の水準近くまで回復したものの、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、令和3年は、地震前に比べ約5割弱にとどまっています。 最近では、旅行助成事業、くまもと再発見の旅による需要喚起や阿蘇中岳火口見学の一部再開などの効果で、少しずつ回復傾向にあります。 九州、熊本の観光の要である阿蘇への観光客回帰を加速し、地震前のにぎわいを取り戻すことは、県全体の観光復興を推し進める上でも重要課題と認識しています。 このような中、令和5年には、阿蘇地域の観光復興を後押しする新しい施設の開業等が相次ぐことから、その効果を最大化していく取組を進めます。 まず、3月には、創造的復興のシンボルである阿蘇くまもと空港の新旅客ターミナルビルが開業します。また、夏には、南阿蘇鉄道が全線運行を再開し、JR豊肥本線への乗り入れが始まります。 そこで、このような阿蘇地域へのアクセスの充実に合わせて、南阿蘇鉄道で『ONE PIECE』コラボ列車を運行し、快適に楽しみながら阿蘇地域を訪れてもらえるような環境を整えます。 また、同じく夏には、震災ミュージアム中核拠点が南阿蘇村にオープンします。そこで、防災、減災について学べる教育旅行や企業の研修、視察等を誘致し、多くの来館者を受け入れたいと考えています。さらに、被災市町村に点在する震災遺構や10体の麦わらの一味の像を広域的に周遊できる仕組みづくりを行い、相乗効果を高めます。 10月に開催される雄大な阿蘇の自然の中をロードバイクで走るツール・ド・九州のコースは、すばらしい景観に加え、高低差の大きい難コースとして、サイクリストの評価は非常に高いと伺っています。大会成功に万全を期すとともに、これを契機に阿蘇地域がサイクリストの聖地となるよう、環境整備やPRに努めます。 そして、12月には、阿蘇神社楼門の復旧工事が完了する予定です。 来年の阿蘇は、まさに熊本地震からの創造的復興が実感できる観光コンテンツが数多く出そろい、明るい話題が続きます。 この好機を最大限に生かして、強力に誘客プロモーションを行い、国内はもとより世界中の方々に、熊本地震から復活した阿蘇の魅力を心行くまで体感していただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 来年以降はいろんなイベントあるいはいろんな施設が阿蘇で出来上がるということで、非常に期待をしているところです。 ツール・ド・九州については、舗装面など道路環境の整備や通信の不感地帯の解消あるいはコース周辺住民への説明などの対策をしっかりとやっていただき、住民の理解を得るように努めてほしいと願っております。万全を期してほしいというふうに、新しい世界的なイベントになることを期待しているところです。 震災ミュージアムにつきましては、新しい施設であり、アクセスも悪いことから、ただいま県道河陰阿蘇線の付け替え新設をされておりますが、阿蘇全体に言えることですが、道路や看板が分かりづらい面があります。ぜひとも、これを機会に、道路、看板等のサイン計画をしっかりと見直して、分かりやすい、通りやすい道路にしていただければと願っております。 全国旅行支援は、国から、今年12月以降も支援額を下げて続けるような報道もあっております。混乱のないような方法を検討していただければと思っております。 阿蘇の観光、来年は期待しておりますので、よろしく御支援をお願いしたいと思います。 続きまして、阿蘇地域世界農業遺産のさらなる推進についてを質問いたします。 阿蘇地域世界農業遺産認定10年目を契機としたさらなる推進についてお尋ねします。 皆さんも、夏には阿蘇をドライブしたことがあろうかと思います。草原が広がり、緑がきれいです。これは、農業がつくっている風景で、世界的な観光資源にもなっています。 阿蘇地域は、2013年、平成25年5月に、草原の維持と持続的な農業の優れたシステムが認められ、世界農業遺産に認定されました。来年、認定から10年目を迎えます。 世界農業遺産は、世界的に重要な伝統的農業を営む地域として、国際連合食糧農業機関、FAOが認定するものです。 阿蘇地域では、1,000年もの間、野焼きや放牧、野草を餌や敷きわら、堆肥などとして活用するなど、草原を農業に利用することで、日本最大級の草原が維持されています。 元来、農業に不向きである酸性で養分の乏しい火山性土壌の農地を、野草堆肥の投入などで長年かけて改良し、涼しい気候風土を生かして、米やトマトやホウレンソウなど多様な作物の生産が行われています。 また、神楽や火たき神事をはじめとした農耕祭事などの農業と関わりの深い伝統文化が継承されています。まさに、SDGsにつながる取組ではないでしょうか。 このように、阿蘇の先人たちは、社会や環境の変化などの幾多の困難を乗り越え、何世代にもわたり継承して草原を利用してきました。近年では、ボランティアの手を借りることも増えてきましたが、まさに農家の手によって草原が維持されてきております。 そのような中、2016年の熊本地震や新型コロナウイルス感染症による社会や経済への影響、ウクライナ情勢の影響を受けた世界規模での食料不足や肥料価格高騰など、新たな困難が次々と発生しています。 農業を取り巻く環境は、厳しさを増しています。しかも、農業によって美しい景観が生み出されていますが、農家への収入増にはつながらないように見えます。このままでは、世界に認められた阿蘇の伝統的農業や景観、文化、生物多様性などの継承が困難になるのではないかと心配しています。 やはり、この美しい景観を守っているのは農家の皆さんです。農家の皆さんが、阿蘇で生産された農畜産物は高値で取引されているという実感があり、農業を次の世代に引き継ぎたいと感じてもらえることが、世界農業遺産の認定を受けた意義ではないでしょうか。 阿蘇の世界農業遺産は、SDGsにつながるすばらしい農業です。時代の流れもこちらを向いています。私は、阿蘇地域世界農業遺産の認定から10年目を契機に、今こそこの阿蘇地域世界農業遺産を活用して、阿蘇の農畜産物の価値を高め、農家の誇りとなり、次世代に継承できるような取組が必要であると考えますが、知事のお考えについてお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 阿蘇の草原は、農業と自然が織りなす雄大な景観であり、後世に引き継いでいくべき、熊本が誇る世界の宝です。 私は、平成25年5月、世界農業遺産の国際会議において、認定に向けたプレゼンテーションを行ったことを、昨日のことのように覚えています。 世界農業遺産の認定は、農家の方々にとっても、県民の皆様にとっても誇りであり、大きな夢を与えてくれました。 認定を受けた後、市町村やJA、旅館組合などで組織する推進協会を設置し、県内企業からの応援も頂きながら、世界農業遺産の様々な取組を推進してまいりました。 具体的には、野草堆肥の利用拡大、繁殖あか牛の導入、カヤ材の商品化の支援、世界農業遺産のロゴマークを活用した農畜産物の販売促進などに取り組んでいます。 その結果、世界農業遺産に認定される前に比べ、採草再開面積は8倍となり、あか牛の飼育数は1,500頭以上増加しました。 また、熊本地震で一時的に減少した野焼き面積は、コロナ禍の中でも、農家の努力と多くのボランティアの御協力を頂き、ほぼ以前の水準に回復しています。 一方で、草原を活用した農業を次世代に継続し、草原を守る農家の皆さんが安定した経営を続けられるよう、阿蘇の農畜産物の付加価値をさらに高めていくことが重要です。 このため、世界農業遺産の価値を分かりやすく発信し、消費者の皆さんが阿蘇地域の農畜産物を積極的に選んで購入していただけるような取組を推進しています。 例えば、南阿蘇村では「南阿蘇の風景をつくるごはん」をテーマに、農業が守る草原や農村の風景を価値あるものとして消費者に理解してもらい、地元で取れる農畜産物の消費拡大につなげる取組が始まっています。 私は、世界文化遺産の登録につなげていくためにも、世界農業遺産の様々な取組をたゆみなく進めていくことがとても重要だと考えています。 持続可能な世界を実現するため、SDGsの達成が世界的に求められています。今こそ、これまで1,000年の長きにわたって維持されてきた阿蘇の草原を生かした農業を、さらに飛躍させるチャンスです。 認定10周年を契機に、農家をはじめとする阿蘇地域の皆さんや関係市町村とこれまで以上に緊密に連携し、阿蘇の草原を活用した農業が持続していくよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 阿蘇地域の世界農業遺産をさらに推進していくということで知事から答弁いただきましたが、あのとき、10年前の石川・能登で、知事が白いスーツを着て登壇され、阿蘇地域が世界農業遺産にふさわしいということで力説をされたことを今でもはっきりと覚えております。 おかげさまで、こうやって10年間、阿蘇地域が世界農業遺産として活動されて、そのおかげで大分認識を――阿蘇の農産物も価格を上げている面もあろうかと思います。 さらにその認識を高めていただくならば、例えば東北の岩手県では、ガストロノミー会議というものを行っていると聞いております。これは、東日本大震災後に、国内外で寄せられた多くの支援に感謝を表して、ガストロノミー、美食学という視点から、岩手三陸の豊かな食材、食文化を発信する場として、2018年にスタートしたと聞いております。 ぜひとも、阿蘇のこの農業遺産10年目を契機として、こういった会議も、熊本地震からインフラが相当部分復旧してきたということもあり、ぜひともこういったことも考えていただければというふうに思って提案する次第であります。 最後の質問に入らせていただきます。 県立高森高校マンガ学科の準備状況について質問いたします。 県立高森高校マンガ学科の設置に向けた取組状況について質問いたします。 南阿蘇地域唯一の県立高校である高森高校の新たな魅力づくりについては、令和3年2月定例会の一般質問で取り上げて、古閑前教育長から、漫画を核とした学科やコースの設置について、前向きな御答弁を頂きました。 その後、令和3年9月には、高森町、株式会社コアミックス、県教育委員会及び高森高校の4者で、漫画を活用した高森高校の魅力向上に関する連携協定が締結され、高森高校への漫画関連学科設置に向けた具体的な取組が始まり、令和4年3月に、令和5年4月から高森高校にマンガ学科を設置することが正式に決定されました。 公立では全国初となるマンガ学科であり、また、地元自治体、民間企業の協働による県立高校魅力化の取組は、協定締結時から大きな話題となり、今でも全国ネットのテレビ局で取り上げるなど、県内外のマスコミに大変注目されています。 また、ユーチューブで公開された高森高校のプロモーションビデオは、私も見ましたが、期待が膨らむ内容で、漫画家を目指す全国の中学生が目を輝かせながら見たのだろうと思います。 今年7月に開催されたオープンスクールには、北は北海道、南は沖縄から130名の中学生が参加したと聞いています。来年4月の入学式は、高い志を持った多くの新入生でにぎわっているかと思うと、本当にうれしく思います。 本格的に取組がスタートして約1年という短い期間にもかかわらず、全国の中学生や保護者から注目され、期待されるに至ったのは、昨年9月の4者協議に基づき、関係機関の連携や役割分担が円滑かつ的確に進められた成果だと思います。特に、高森町においては、町営学生寮の整備等、多方面で御支援を頂いております。 今後、生徒や保護者、関係者の皆様の期待に応えるためにも、県教育委員会として、教育内容の充実を図り、学習環境を整備するとともに、生徒の卒業後の進路を確保するのも重要な役割だと考えます。 先日、熊本大学に国際マンガ学教育研究センターが設置され、令和5年度には、大学院社会文化科学教育部文化学専攻に漫画を学ぶコースが設置されるという報道がありました。県が推進しておられますマンガ県くまもとの観点からも、とてもうれしいニュースで、県内でも漫画を学問として学び、研究する環境が整いつつあると思います。 このようなことを踏まえ、来年4月からスタートするマンガ学科の現在の進捗状況について、教育長にお尋ねします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 県立高森高校マンガ科の準備状況についてお答えいたします。 高森高校のマンガ学科は、令和3年9月の4者協定に基づき、関係機関と連携を図りながら準備を進めており、本年7月に開催されたオープンスクール以降、県内外から多数の問合せが続いています。 議員御指摘のとおり、生徒はもとより、保護者、関係者の皆様の期待に応えるためには、教育内容の充実や学習環境の整備が重要であり、高森高校への入学者増につながるよう、様々な取組を行っています。 まずは、入学者の県外枠の拡大についてです。 マンガ学科設置を機に、広く県外からの入学者を受け入れるため、県外から入学可能な定員の割合を、これまでの最大20%から40%へ拡大しました。 また、本年4月から、県教育委員会にコーディネーターを1名、高森高校に美術科教員1名を配置し、さらに高森高校以外の県立高校の美術科教員によるプロジェクト会議を設置しました。 現在、本プロジェクト会議で、マンガ学科における教育内容の充実を図るため、教育課程の研究を重ねています。 具体的には、漫画制作という科目を学校独自に設けて、株式会社コアミックスの編集者や漫画家が授業に参加するなど、魅力的で実践的な内容となるよう、授業内容を組み立てているところです。 さらに、マンガ学科の生徒は、漫画家デビューはもちろん、漫画やイラストなどを学ぶ大学等への進学、デザイン会社や出版会社をはじめとする漫画関連産業などへの就職も見込まれます。このため、教育課程については、多様な進路に対応できる構成としています。 学習環境の整備については、漫画を描くときのデッサン力を養うための実習棟整備や、高森町が4月オープンに向けて整備する学生寮用地として県有地を無償貸付けするなどの取組を進めています。 また、高森町からは、生徒用パソコンの提供や通信環境の整備などの支援も頂いており、地域と連携を図りながら、準備は着実に進んでいます。 引き続き、高森町と株式会社コアミックスとの連携を密にして、夢に挑戦できる魅力ある高森高校の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。  〔河津修司君登壇〕 ◆(河津修司君) 教育長から答弁いただきました。 準備が着々と進んでいるようで、少しは安心しております。しかし、公立高校としては全国初だと聞いておりますし、多分全国から多くの生徒が来ることになると思います。そうなると、予想もできない問題が起きるかもしれません。 今後、答弁にもありましたように、高森町、株式会社コアミックス、県教育委員会及び高森高校の4者で、しっかり連携して問題解決に当たっていただきたいと考えております。 特に、全国から、遠くのほうから来た場合、まだ15歳の子供ですから、心のケアが問題になるかもしれません。そういった点においても、しっかり対応するようにお願いしたいと考えております。 いずれにしましても、この全国初の公立高校でのマンガ学科の設立が、地域振興に大きく貢献することを願っております。よろしくお願いいたします。 これで予定されておりました質問は終わらせていただきます。 今日は、少しは余裕を持って質問できたかと思いますが、時間が少し余りますけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手) ○議長(溝口幸治君) 昼食のため、午後1時5分まで休憩いたします。  午後0時4分休憩    ――――――○――――――  午後1時4分開議 ○副議長(髙野洋介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 西村尚武君。  〔西村尚武君登壇〕(拍手) ◆(西村尚武君) こんにちは。天草市・郡選出・自由民主党の西村尚武でございます。 本日は、お許しを頂きまして、通告に従い一般質問をさせていただきます。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。 まず最初の質問は、農林水産業に関する資材高騰への対応について質問させていただきます。 新型コロナウイルス感染症に伴う世界的な物流の混乱に端を発し、ロシアのウクライナ侵攻、さらには急速な円安の進展によって、食料品やエネルギーなどを中心に物価が高騰し、我が国の国民生活に大きな影響を及ぼしています。 特に、小麦などの穀物価格の値上がりは、世界的な食料問題に発展しており、食料品や飼料の多くを輸入に頼っている我が国においては、食料安定供給に対する脆弱性を改めて認識させられる事態となりました。 こうした中、最近、食料安全保障という言葉が注目を集めています。 食料安全保障に対する国の考えは、食料は、人間の生命の維持に欠くことができないものであるだけでなく、健康で充実した生活の基礎として重要なものであり、全ての国民が将来にわたって良質な食料を合理的な価格で入手できるようにすることは、国の基本的な責務であるというものです。 このため、国は、平成11年7月に公布、施行された食料・農業・農村基本法において「国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせ」、食料の安定的な供給を確保することとしています。 また、凶作や輸入の途絶等の不測の事態が生じた場合にも、国民が最低限度必要とする食料の供給を確保しなければなりません。 現在、世界的な人口増加等による食料需要の増大、気候変動による生産減少など、国内外の様々な要因によって食料供給に影響を及ぼす可能性があり、食料の安定供給に対する国民の不安が高まっています。 不測の事態に備え、日頃からそうした要因の悪影響等を分析、評価するとともに、不測の事態が生じた場合の具体的な対応手順の整備等を進めておくことが重要であり、こうした取組を通じて、総合的な食料安全保障の確立を図っていく必要があります。 同法においては、不測時における食料安全保障に関する規定を設け、不測時において、国が必要な施策を講じることを明らかにしています。 一方、我が国の食料安全保障を支える農林水産業においては、今般の物価高騰が生産現場における大きな課題となっています。生産に欠かすことのできない燃油、配合飼料、肥料などの資材価格が高騰するなど、先行きが極めて不透明な状況です。 例えば、燃油は、これから本格的な暖房シーズンを迎える施設園芸では、1シーズンで10アール当たり数千リットルが必要です。さらに、漁業においても、漁船の燃料やノリの乾燥に使用されるなど、農林水産業における多くの機械、施設に利用されています。 また、配合飼料は、養殖漁業者や畜産農家における生産コストに占める割合が高く、餌代の高騰は、所得の減少に直結する大問題となっています。 私の地元でも、加温デコホン、キュウリ、ミニトマト、トルコギキョウなどを生産する方々から、重油価格はずっと高止まりのままだろうかとか、栽培する農産物が高く売れればいいが、このままでは来年の栽培ができないなどと口をそろえておっしゃっています。また、漁業者からは、今年は赤潮もあってダブルパンチだ、経営がおぼつかないなどと切実な声も上がっております。 このような声を聞きますと、ただでさえ高齢化している農林水産業の担い手の中には、辞めてしまう方も出てくるのではないかと心配しています。そのような事態になれば、先人が築き上げてきた全国に誇れる熊本の農林水産業が必ずや衰退していくことでしょう。 県議会としても、本年10月に、食料安全保障の強化及び燃油・肥料・飼料等生産資材価格高騰対策の拡充に関する意見書を国へ提出し、現在、物価高騰に対する地方自治体の独自の取組をさらに進めるため、国から地方創生臨時交付金の追加配分も行われたところです。 そこで質問です。 本県の農林水産業が将来にわたり継続できるよう、喫緊の課題である資材高騰への対応について、取組状況と今後の方向性について農林水産部長にお尋ねします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 国際的な原材料価格の上昇や円安の影響によって、令和2年と比べ、農業用A重油では約4割、肥料や家畜用飼料では約5割も価格が高騰しております。そのほか、農業用ビニールや水産養殖用配合飼料など、農林水産業に関する資材価格は総じて上昇しており、生産コストの増加が本県農林漁業者の経営を圧迫しております。 これまで県では、国に対して、支援制度の創設や拡充を数次にわたり要望するとともに、県議会におかれましても意見書を提出いただいております。 これを受けた形で、急激な高騰によるコスト上昇を緩和するための各種補助事業が創設されたほか、セーフティーネット制度の十分な予算が確保され、燃油価格高騰対策制度では積立金の分割納入が可能となるなど、農林漁業者に寄り添った支援策が実現してきました。 これらの制度や事業を活用し、セーフティーネットへの加入促進を図りますとともに、肥料代の補填、園芸用ヒートポンプや漁船用省エネ型エンジンの導入などを進めております。 また、国の施策と一体となって、さらにきめ細かく支援を行うため、国の地方創生臨時交付金を活用し、生産コストの削減につながる資材や森林の再造林に係る資材導入補助、家畜用飼料の価格安定制度の生産者積立てへの支援などに取り組んでおります。 今定例会におきましても、野菜、果樹の集出荷施設や米、麦、大豆の共同乾燥施設、農業水利施設や漁業共同利用施設の電気代への助成など7億6,000万円余の予算を提案しており、これを含めますと、本県独自の支援策は15億円を超えるものとなっております。 このような取組により、農林漁業者の急激な事業環境の変化への対応を支援し、負担軽減を図りますとともに、本県農林水産業が国際情勢の影響を受けにくい持続的な産業となるよう、生産コスト削減のための技術導入や経営安定のための対策を一体的に進めてまいります。 今後も引き続き、生産コスト削減につながる技術の開発、普及や自給飼料の増産など国産化の取組を加速させ、あらゆる情勢を注視しながら、急激な変化にも適時適切に対応できるよう、国や市町村、関係団体と連携して取り組んでまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 御答弁を頂きました。 確かに、生産コストの増加が農林漁業者の経営を圧迫してきております。県では、農林漁業者に寄り添った支援策を実現されてこられたということは実感しております。また、御答弁を頂き、きめ細やかな支援、取組をされているということも理解いたしました。 農林水産業等の1次産業は、いつ起こるとも限らない自然災害の影響を直接受ける産業であります。言い換えれば、自然と共存共生していかなければならない産業です。これからも御支援のほうをよろしくお願いいたします。 次に、情報通信環境の地域間格差について質問させていただきます。 県におかれては、令和3年3月に、熊本県情報化推進計画、また、その推進計画に基づき、令和4年度熊本県情報化施策実施計画を策定されています。 その中には、「県民誰もがICTの恩恵を享受し、安全安心便利なくらしができる超スマート社会くまもとの実現」に向けて、地域や行政のデジタル化の取組を着実に進めていくための事業の内容及びそれぞれの事業ごとに事業費も示されており、本年度において、着実に実行されていると思います。 デジタル化に向けた動きとして、私の地元の天草市は、2022年1月24日、市内店舗で使える3,000円分の電子クーポンを、希望する18歳以上の市民に給付する方針を出しました。 市の独自の電子クーポンアプリの普及を進め、地域の経済循環の活性化を図る、2021年度一般会計補正予算案と22年度一般会計当初予算案に、事業費を盛り込みました。あわせて、市が発行している天草宝島商品券の電子化を進めており、同商品券や国の18歳以下の子供への10万円配当給付のうちの5万円分などの電子クーポンを対応店舗で使えるようにしました。このように、市民の間でICTに対する需要は高まっております。 その一方で、デジタル化の推進に不可欠な情報通信環境の整備については、天草地域は後れを取っている状況と言わざるを得ません。 天草市内のインターネット環境について見てみると、令和元年度からインターネット環境の光化に着手し、令和5年度に事業完了して、やっと市内の世帯の95%をカバーできるようになるということです。 というのも、天草市は、面積も広く、地形的に集落も点在しており、通信事業者としては、一部の地域を除き、不採算地域となることから、整備を進められなかったことが理由と考えられます。 しかし、令和元年度に、国の情報通信基盤整備事業補助金が、民設民営での整備についても助成対象となったことから、やっと地元ケーブルネットワークにより整備が進められることになりました。 また、天草市は、合併時に支所等の公共施設を光ファイバーでネットワーク化しており、その光ファイバーを通信事業者に貸し出すことにより、事業費を抑えています。 整備については、地元のケーブルネットワークが実施していますが、光ファイバーの新設については、国の補助金が3分の1、市が残りの3分の2を負担、ケーブルネットワークが所有している既存の同軸ケーブルを改修する場合には、国、市、通信事業者がそれぞれ3分の1ずつを負担することとしております。 令和元年度から2年度までの整備において、天草市が負担する額は、約14億円になる見込みだとのことです。なお、御所浦地域においては、県の地域振興策において整備は済んでおります。 携帯電話についても、今後5Gも普及していく中において、これまで以上に様々な場面で活用されることが見込まれており、その役割はより大きくなると思います。 しかし、天草市内の状況は、過去に不感地域解消――これは携帯電話が通じない地域のことですが、不感地域解消の事業も実施されましたものの、いまだに不感地域が多く存在する状況です。 このように、天草市内において情報通信環境の地域間格差が生じておりますが、県内においても、自治体間の地域間格差が生じているのではないかと思います。 そこで、県としてこのような状況をどのように認識しておられるのか、デジタル戦略担当理事にお尋ねします。  〔理事小金丸健君登壇〕 ◎理事(小金丸健君) 県民誰もがICTの恩恵を享受し、安全、安心、便利な暮らしを実現するためには、そのインフラとなる情報通信基盤の整備を促進し、地域間格差の解消に取り組んでいくことが大変重要です。 議員御指摘の光ファイバーについて、県内の整備率は、令和3年3月末時点で、世帯カバー率97.8%となっています。一方、国が本年3月に策定したデジタル田園都市国家インフラ整備計画では、令和9年度までに世帯カバー率99.9%を目指しています。 光ファイバー整備において、地域間格差が生じる要因の一つとして、人口が少ない地域等における民間事業者の採算性の問題があります。 本年6月の電気通信事業法改正により、光ファイバー等の有線ブロードバンドサービスが、全国どこでも利用可能な通信サービスであるユニバーサルサービスに位置づけられました。 今後、事業者が行う不採算地域の維持管理費用に対して、国が財政支援する制度が創設される予定です。これにより、県内の不採算地域でも整備が着実に進むことが期待されます。 また、光ファイバーについては、整備費用のほか、老朽化した施設の維持管理や更新費用が課題であり、特に市町村が公設で運営する施設において顕著となっています。 そのため、県では、公設で運営している市町村を訪問し、課題を把握するとともに、民営化も選択肢の一つとして、通信事業者と連携しながら方針作成等の支援を行っています。 次に、携帯電話サービスについてですが、県内の通話エリアは、人口カバー率が99%となっていますが、議員御指摘のとおり、現在、天草市など11市町村83世帯において不感地域があります。 携帯電話サービスについても、県民の生活や経済活動に不可欠なライフラインであり、特に自然災害等の非常時には重要な通信手段となります。そのため、5G基地局の整備と併せて、不感地域の解消に最後の1世帯まで取り組む必要があると考えています。 そこで、県では、市町村と連携し、不感地域についての調査を毎年実施し、総務省を通じて、通信事業者に対して早期の解消を要望しています。 県としては、引き続き、国や市町村、通信事業者と連携しながら、確実に情報通信基盤の整備が進むよう、地域間格差の解消に向けて取り組んでまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 御答弁を頂きました。 スマホ、携帯電話は、現在では、若者はもちろん、高齢者にもなくてはならない存在になってきました。 天草市でも、市の事業として、先ほども申し上げましたが、地域の経済環境の活性化を図るとして、電子クーポンアプリ等の普及を始めました。また、産業面でも、魚類養殖の餌やり、給餌にスマホを使用する等のスマート化も出てきております。 デジタル化というのは、実生活において欠かせない存在となってきています。どうぞ早急な各地の情報通信基盤の整備と地域間格差の解消をよろしくお願いいたします。 続きまして、半島航路から離島航路への位置づけについて質問させていただきます。 このことにつきましては、私は、令和3年2月定例会において、半島地域航路、フェリー航路の支援についてという項目で一般質問をさせていただきました。 内容としては、鹿児島県長島町の蔵之元港と天草市の牛深港を結ぶフェリー航路に関する質問でありましたが、県においては、地元市町の要望に応え支援を拡充している、また、新型コロナウイルス感染症の影響が続いており、航路利用者も回復していない状況なので、今後も事業者の経営への影響を注視しながら、地域住民の暮らしを支える離島、半島航路が維持されるよう、地元自治体としっかり支えていくというありがたい答弁を頂きました。 私も、最後に、フェリーでの物流も多く、牛深の基幹産業である漁業にとってもフェリーはなくてはならない存在であり、天草西海岸の国道389号線につながる海の国道との認識も地元では強い、この航路の維持を強く要望するとお願いしました。現在もしっかり支援を継続していただいていることに感謝をいたします。 現在、牛深港と蔵之元港を結ぶフェリー「第二天長丸」は、牛深に本社のある三和商船株式会社が運航しておりますが、令和元年度までは黒字でありましたが、令和2年、コロナ禍の影響で赤字となりました。 支援要望があり、国、県、地元市町による支援を実施されてきましたが、人口減少による利用者の減少等を受け、航路経営は厳しい状況となっております。 また、建造から約30年を経過する船舶更新費用も必要となってきますが、自己資金での船舶更新も困難な状況となっています。さらに、燃料高の急増が新たな課題となっています。 この牛深港と蔵之元港を結ぶフェリー航路は、地元では海の国道との認識が高く、2015年には、フェリー発着場のあるうしぶか海彩館は、道の駅として登録されております。 また、牛深は、水産業が基幹産業であり、中でも雑節を生産する水産加工の生産高は、日本でもトップクラスとなっております。その原料の多くは鹿児島・枕崎港に水揚げされるサバ、イワシでありますが、その原料を牛深まで輸送する大事な輸送ルートでもあります。 また、最近の情報ですが、令和3年4月の参院財政金融委員会の質疑の中で、公明党の秋野公造参院議員が、長崎県南島原市の口之津港と天草市の鬼池港を結ぶフェリー航路について、半島地域間を結ぶ航路であるものの、通勤や生活物資の輸送などにおいて不可欠であることから、離島航路に位置づけることはできないかと提案されました。 国土交通省側から、船舶以外の交通が著しく不便な地域間を結ぶ航路として、離島航路に該当することを明確にしたいとの答弁があったようです。 離島航路整備法では、1に、本土と離島、離島同士を結ぶ航路で、代替となる交通手段がない、2に、郵便や生活必需品を輸送しているなどの要件を満たせば、定期便の運航で赤字が出た場合に国が一部を補助する制度であります。 そこで、1点目として、本件に関するこの答弁後の国の動きなどについて、県が把握しておられる状況についてお尋ねします。 2点目として、まだ離島航路として認定されていないのであれば、鬼池―口之津航路と牛深―長島航路を一緒に離島航路として取り扱えるよう国に働きかけができないか。また、三県架橋と関連するフェリー航路であり、熊本県が中心となって長崎県、鹿児島県と共同で動けないか。 以上、2点を企画振興部長にお尋ねします。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) まず、1点目の口之津―鬼池航路の離島航路の認定状況についてお答えをいたします。 議員御指摘の令和3年4月の国会答弁を受け、地元の南島原市や天草市を中心に、離島航路の基準を満たすかどうかの検討や意見交換が行われています。 また、運航事業者において、コロナ収束後の平常時におけるフェリーの利用実態調査を実施する予定であると伺っています。 次に、2点目の牛深―蔵之元航路を含めた本県の取組についてお答えをいたします。 牛深―蔵之元航路について、地元天草市から離島航路の認定に向けた手続を進める意向を確認し、先月、国と認定手続に関する実務的な打合せを開始しました。 離島航路の認定に当たっては、離島航路の基準を満たした上で、それぞれの航路ごとに運航事業者を管轄する市町村等を主体とした協議会において、経営状況の分析や課題の整理などを行い、航路改善計画を策定することが必要となります。 両航路に関わる本県としては、協議会への参画などを通じて、長崎、鹿児島両県と連携し、地元の検討段階に即した助言や国との調整を行うなど、支援をしてまいります。 地元住民の生活に不可欠な航路の維持が図られるよう、引き続き、地元自治体とともにしっかりと支えてまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 御答弁を頂きました。 今年10月15日に、鹿児島・長島町で開催された三県架橋構想推進大会に参加いたしました。三県架橋の重要性を再確認いたしましたが、帰りはフェリーを使い、その必要性を再確認いたしました。 三県架橋の実現はいつになるか分かりませんが、そのような現状だからこそ、実現するまでフェリー航路は残さなければなりません。 フェリー航路事業者は、今コロナ禍も相まって、精いっぱいの状況であります。建造から約30年を経過する船舶更新も必要となってきますが、自己資金での船舶更新も困難な状況であります。法に定められた点検整備はもちろん行われているとは思いますが、船舶の老朽化は、故障につながりますし、海上では事故につながる可能性が高いと思います。 現在、県及び地元自治体から支援を頂いていますが、国から離島航路として位置づけられることによって、国からの支援も受けられるようになりますので、地元自治体と一体となり取り組んでいただくことを要望いたします。 続きまして、本県公立中学校における休日の部活動の地域移行に向けた取組について質問させていただきます。 中学校部活動の地域移行については、国のスポーツ庁や文化庁により、平成30年3月に部活動の在り方に関する総合的なガイドラインが示され、文部科学省より、令和2年9月に学校の働き方改革を踏まえた部活動改革についてが示されました。これらには、令和5年度からの休日の部活動の段階的な地域移行等の方針が示されております。 その後、国の部活動の地域移行に関する検討会議において、令和4年6月に運動部活動の地域移行に関する提言が、令和4年8月に文化部活動の地域移行に関する提言が示されました。 中学校部活動の地域移行について、現在、中学校の保護者より、複数の質問が私の元に寄せられております。 そこで、地元天草市に確認しましたところ、以下の課題が判明いたしました。その内容は、さきに述べました運動部活動の地域移行に関する提言及び文化部活動の地域移行に関する提言には、令和5年度から3年後の令和7年度末をめどに、休日の部活動を段階的に地域に移行していくと述べられていますが、現時点で、県としての方針や推進計画等が示されていないということです。 県から具体的に何も示されていない状況にあっては、市町村として準備を進めることができない状況であり、既に令和5年度からの地域移行には無理があるのではないか、熊本県としての方針や推進計画等について、まずは早急に各市町村首長部局等へ説明を行っていただきたいというものです。 私は、方針や推進計画等を示すに当たっては、県として進めるべきことと市町村において進めるべきことの整理も併せて必要と思います。 具体例を挙げれば、まずは教職員の兼職兼業制度についてです。 部活動を担当する教員が不利益な扱いを受けるのは論外として、部活動の指導を熱心に行う教員も、将来のキャリアに希望が持てるような制度にしてほしいと思っています。 次に、中体連組織やクラブチーム、大会参加の規定との調整についてです。 私は、多くの保護者をはじめ、関係者から、中学部活が廃止となり、地域のクラブチームに所属したら中体連に出場できなくなるのではないかとの不安の声を多く頂いています。 そのほか、指導者の確保について、財政的支援、これは、指導者報酬費、生徒支援費等について、合同部活動の在り方、生徒の送迎等について、活動指針、活動日数や活動時間について、平日の部活動の地域移行について、高校入試、推薦等の兼ね合いについて、長期休業中の活動について、相談窓口等の設置について等に対して不安を抱いているとの声を頂いております。 また、各市町村においては、指導者の確保や生徒数、活動場所など、実情、実態が異なっており、一律の対応が困難な地域があることを十分踏まえた上で進めていただきたいということです。 そこで、中学校部活動の地域移行においては、各市町村に全てを委ねるのではなく、これまで述べてきました声も踏まえながら、県が何をどこまで整備し、支援していくのか、ロードマップや整備計画等を明確にしていただきたいということです。 この点について、県はどのように考えておられるのか、教育長にお尋ねします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 本県の公立中学校における休日の部活動の地域移行に向けた取組状況についてお答えいたします。 国は、将来にわたり、生徒がスポーツ、文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保することを目指し、公立中学校における休日の部活動の地域移行について、令和5年度から3年間を改革集中期間と位置づけて、取組を進めています。 昨年10月から、有識者による検討会議が開始され、本年6月に運動部活動、8月に文化部活動に関する提言が国に対してなされました。 今後、国は、その提言を踏まえて、地域移行に伴う指導者の確保や運営団体及び地域移行の進め方等を定めたガイドラインを作成し、年内をめどに公表する予定と伺っております。 県教育委員会では、国の委託事業を活用して、令和3年度から、南関町、長洲町において、令和4年度は、この2町に県立八代中学校を加えて、休日の部活動の地域移行をモデル的に実践しています。 また、本年8月には、市町村の担当者に対し、運動部活動についての有識者の提言内容や市町村に応じた地域移行の進め方、来年度の国の補助事業等に関する説明会を開催し、地域移行に向けた準備を進めています。 議員御指摘の具体的課題についてですが、例えば、教職員が休日の地域クラブ活動で指導を行う場合は、地域指導者としての立場で指導することになります。 そこで、指導者確保の観点からも、地域クラブ活動等での指導を希望する教職員が円滑に指導に携わることができるようにするなど、各市町村の指導者確保に向けた体制づくり等を検討しています。 また、地域クラブからの大会参加については、日本中学校体育連盟が、既に来年度の大会から地域クラブの参加を認めており、現在、県中体連において、本県の具体的な参加条件や運営等について検討されています。 今後、国のガイドライン等が示された後、速やかに県としての推進計画を作成するとともに、市町村への説明会をはじめ、推進体制の整備に向けた支援を行ってまいります。 引き続き、市町村や地域スポーツ団体、地域文化芸術団体等と連携を図りながら、休日の部活動の地域移行が円滑に進むよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 御答弁を頂きました。 中体連へのクラブチームの参加については、日本中体連は来年度からの参加を認めており、県中体連も検討中とのことでありました。 生徒や保護者にとりまして、中学校生活の3年間は、一生に一度きりのことであります。一日でも早く参加できますように、県のほうでも働きかけをよろしくお願いいたします。 中学校部活動の地域移行においては、各市町村に全てを委ねるのではなく、これまで述べてきました声も踏まえながら、県が何をどこまで整備し、支援していくのかを明確にしていただきたいと思います。今現在、一番困るのは生徒ですので、その辺を御配慮いただきたいと思います。市町村と連携をもって進めていただきますようお願いを申し上げます。 続きまして、県立牛深高校の魅力化について質問させていただきます。 現在の牛深地区の唯一の県立高校である牛深高校の将来を心配しています。 私は、県議会議員になる前に天草市市議会議員をしておりましたが、私の地元でもあることから、入学式、卒業式にお招きをいただいておりました。そのたびに、生徒数が減ってきていることに心配をし、心を痛めてまいりました。あるとき、生徒よりも来賓者のほうが多いときがあったように思います。この体験を思い出し、今回の質問をするに至りました。 これまでの牛深高校をめぐる動きを振り返ってみますと、平成25年3月に、県立高等学校再編整備等後期実施計画により、牛深高校と河浦高校の普通科を再編統合することが決定し、平成27年に現在の牛深高校が開校しました。今年度で創立7年目、これまでに263名の卒業生を輩出しております。 牛深高校は、地域の核であり、地元では牛深高校の卒業者も多く、牛深高校を母校とする市民も多く在住されております。 牛深高校といえば、特色の一つである牛深ハイヤ節を継承する郷土芸能部がありますが、全国高等学校総合文化祭で文化庁長官賞を受賞するなど活躍してきました。 私ごとではありますが、私の娘も、牛深高校のハイヤ部に入りたいから牛深高校に行きたいと言っていたことを思い出します。 そのような中で、ハイヤ部がコロナ禍で思うような活動ができなくなったことも影響し、一時部員がゼロになりましたが、その後、担当教師の頑張りで10数名の部員が集まり、現在は、各種イベントで牛深ハイヤ節を披露するなど、活気が出てまいりました。この学校は、牛深地区になくてはならない存在であります。 一方で、平成27年の開校以来、入学者数は40名から70名前後で推移しており、牛深及び河浦地区の中学校卒業者数は今後も減少する見込みであり、この状況を大変憂慮しております。 そこで、教育委員会として、牛深高校の魅力化について、現在どのような取組を行っておられるのか、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 県立牛深高校の魅力化についてお答えいたします。 平成27年度に、牛深高校と河浦高校の普通科を再編統合し、県内唯一の普通総合学科を有する現在の牛深高校が開校しました。 この学科は、普通科目を主体としながら、商業、家庭、体育、音楽の専門科目を開講し、生徒の進路希望や興味、関心など多様なニーズに応じて必要な科目を学べる体制が整っています。 その結果、医療・看護系、保育系、情報・ビジネス系の4年制大学をはじめ、専門学校への進学、公務員など様々な業種への就職など、幅広い進路につながっています。 昨年度からは、文部科学省のCOREハイスクール・ネットワーク事業により、遠隔授業の推進に向けた調査研究の一環として、ICTを活用し、牛深高校の生徒が第一高校の生徒と一緒に地理の授業を履修しています。 さらに、ネットワーク事業に参加している小国高校、球磨中央高校と4校でオンライン合同発表会を開催し、牛深にいながら他の地域の高校生と一緒に地域課題解決のための探究的な学習を行っています。 来年度は、遠隔授業の実施科目を拡大するとともに、他の3校の生徒とグループを構成して共同研究を行うなど、さらに内容を充実させていく予定です。 議員御紹介のとおり、牛深ハイヤ節を伝承する郷土芸能部には、現在10数名の部員が在籍しており、牛深ハイヤ祭りをはじめとする様々なイベントに参加するなど、地域との交流を深めています。来年1月には、東京ドームで3年ぶりに開催されるふるさと祭り東京に出場するなど、活発に活動されています。 今後も、普通総合学科の学びを充実させるとともに、ICTを活用した多様な学びの実践、伝統文化の継承を通じた地域を担う人材の育成など、牛深高校ならではの魅力化を進め、これまで以上に地元自治体や企業、小中学校、地域の方々と連携しながら、地域の期待に応える学校づくりに取り組んでまいります。  〔西村尚武君登壇〕 ◆(西村尚武君) 牛深高校の魅力化についての取組について御答弁を頂きました。 県教育委員会の御努力以外にも、牛深高校の教員、生徒の皆さんも主体的に活動されていることに、頼もしさも覚えました。 牛深高校の魅力が高まり、天草以外からも通学したいという生徒さんが出てくるといいなと思いましたが、その際、ネックとなるのが牛深高校の場所です。 皆さんも御承知のとおり、熊本市内はもちろん、天草内でも、毎日通学できる範囲は限られます。どんなに魅力的な学校になっても、今後の人口減少を考えると、牛深、河浦の中学生が通学するだけでは、生徒数の増加は見込めないと思います。 そこで御提案ですが、魅力化の取組と併せて、通学範囲を超える生徒を受け入れるため、天草市と協力して住環境を整備するのはいかがかと思います。 生徒寮の整備は、建設、維持費の負担がありますが、下宿させてくれる地域の方を募集する、既存のアパート等の借り上げ等、経費を抑えられる方法はあるかと思います。恐らく、潜在的には、天草以外の中学生の中には、中学校までの生活環境を変えたい、あるいは単純に近くで釣りができる環境に憧れる生徒もいると思います。学校魅力化に併せて、住環境が整えば、真剣に検討する生徒も出てくるかもしれません。 一方、市としても、生徒数の増加による地域のにぎわい創出、生徒、保護者の訪問等でよい効果等も見込めるため、検討する余地があると考えます。また、牛深、河浦から通学する生徒にとっても、他地域からの生徒が増えると、よい刺激になると思います。 まずは、高校の魅力が高まること、他地域の中学生に牛深高校のことを知ってもらうことが前提ですが、少子化の中、高校を牛深で存続するためには、他地域からの生徒受入れは必要不可欠と思います。 県教委におかれましては、ぜひ御検討いただきますようお願いしまして、次に、要望を2つ上げさせていただきます。 1つ目は、熊本天草幹線道路・本渡道路の整備促進について要望させていただきます。 熊本天草幹線道路につきましては、継続して熊本県及び関係自治体、関係団体が一丸となり、国交省並びに県選出の国会議員の先生方への強力な要望活動をいただいておりますことを、まずもってお礼申し上げますとともに、多くの関係者の御努力に敬意を表します。 天草地域においても、去る10月22日に、早期完成を求める天草島民集会が開催され、いよいよ本年度末の本渡道路完成が間近となる中で、関係者が一堂に会し、改めて全区間の早期完成に向けた地元の機運醸成が図られたところであります。 集会の中では、天草のよりよい未来へ向けた架け橋となることを願い、仮称第二瀬戸大橋の橋名を、一般からの公募により、天草未来大橋と決定され、今後の天草地域の振興の一翼を担う橋として大きな期待が寄せられています。 私の地元である天草市では、来年度、﨑津集落の世界文化遺産登録5周年、本渡緑地広場のスポーツ拠点施設完成、さらには御所浦恐竜の島博物館の完成など、天草未来大橋の開通と併せて、交流人口の増加が見込まれるイベントが盛りだくさんとなっています。 このような大きな施策を順調に進めることができますのも、蒲島知事の御理解とお力添えのたまものであり、改めて御礼を申し上げます。 熊本天草幹線道路につきましては、これまでも再三申し上げてきましたが、地域の振興と併せて、いつ起きるか分からない災害に備え、熊本―天草間における代替路確保のためにも、本渡道路、大矢野道路、熊本宇土道路、宇土道路、宇土三角道路の早期整備が求められます。 そこで、本渡道路が無事開通に向かう中で、現在調査中区間となっている国道324号天草―志柿町区間についても、早期の事業化を要望いたします。 次に、最後の要望となりますが、ため池の保全対策について要望させていただきます。 数年前、地元天草の農業関係者の方から、ため池の保全対策の件で相談を受けました。内容としては、ため池の老朽化が進んでおり、決壊するのではないかと心配している、何か対策する方法はないかということです。 このため、私自身も現地に出向き、地元の方々の意見を聴き、ため池について調べてみました。 そこで分かったことは、熊本県には農業用ため池が2,306か所あり、そのうち、決壊により下流の住宅等に被害を及ぼすおそれのある防災重点農業用ため池が833か所あること、天草管内には、県内で最もため池が多く、農業用ため池が672か所、防災重点農業用ため池が166か所あるということでした。また、ため池の多くは、水利組合や集落などの受益者を主体とした組織によって管理されているということが分かりました。 天草管内は、島嶼地域で、昔から水不足に悩まされてきたことから、多くのため池が造られたと考えられ、現在も水源として利用されています。しかしながら、農家戸数の減少や土地利用の変化から、管理や監視体制の弱体化が懸念されています。 平成30年7月豪雨では、全国規模で多くの農業用ため池が決壊し、人的被害を含む甚大な被害が発生しました。 このため、国では、令和元年に農業用ため池の管理及び保全に関する法律を、また、令和2年に防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法を制定し、施設の所有者等や行政機関の役割分担を明らかにし、ため池の適正な管理及び保全が行われる体制整備と防災重点農業用ため池に係る防災工事等を集中的かつ計画的に推進することとしました。 これらの法律に基づき、現在、熊本県においても、防災重点農業用ため池について、劣化状況や地震・豪雨評価を実施中とのことですが、県内にはため池の数が多く、各自治体との調整もあり、防災工事まで簡単に進まないということは理解しております。 また、市町村の財政やマンパワーに限界があることも理解していますが、地元農業者の関心も高く、災害に対して大きな不安があることから、ため池に関する各種調査の早期完了と計画的な防災工事の推進をお願いいたします。 時間が余りましたが、以上で質問を終わらせていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(髙野洋介君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明13日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第5号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後1時58分散会...